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慢性心不全患者の健康状態をICTで在宅管理 佐賀大

 佐賀大学医学部循環器内科の野出孝一教授の研究グループは1月から、退院後の慢性心不全患者の健康状態をICT(情報通信技術)で在宅管理する大規模な実験を始めた。再入院率や死亡率を低下させる新たな診療モデルの構築を目指し、全国20病院の協力を得て患者420人を対象に実施する。

 

 実験は厚生労働科学研究費補助金の採択を受けており、2013年度までに総額約1億3千万円が支給される見込み。佐賀大によると、1億円を超える支給額の研究採択は初めてという。

 

 高血圧などで心臓の機能が低下する慢性心不全は、入院患者の約4割が退院後半年以内に再入院しているとされ、誘因の半数を占めるのが水分や塩分、体重など自己管理の問題。研究グループは在宅管理することで、再入院を予防できる可能性に着目した。

 

 実験では在宅管理と通常の外来診療の2グループ(各210人)に分け、14年8月まで再入院率などを調べる。在宅管理には健康計測機器メーカー「タニタ」のインターネットに接続する体組成計と血圧計を使用。患者が自宅で計測すると、佐賀大に新設したモニタリングセンターにデータが自動送信される。専属の看護師2人が数値を毎日チェックし、異常があった場合は患者が通う全国20病院の外来担当医に報告する。

 

 研究グループが10年8月から1年間、佐賀大病院を退院した患者24人を同じシステムで在宅管理した結果、半年以内に再入院したのは1人。在宅管理しなかった前年の患者70人中10人が再入院したのに比べ、効果が表れた。

 

 以前は計測を怠る患者が半数以上いたが、事前実験で診療時にグラフ化したデータで療養指導すると9割以上が毎日、計測するようになった。そこで、今回の実験では全国の外来担当医に多機能端末iPadを配布。佐賀大から管理データを随時送信し、患者に画面を見せて指導に役立てる。研究グループは「自己管理の意識を高める効果もありそうだ」と期待する。

 

 佐賀大病院に入院した心不全患者の平均入院日数は33日で、全疾患の平均16日に比べて倍以上。平均144万円に上る医療費の削減も喫緊の課題となっている。野出教授は「ICTを活用する中で薬剤師、栄養士、理学療法士など多職種のチーム意識が生まれることに加え、大学病院、一般病院、開業医など各段階で全体の診療レベル向上につながる」と話す。

2012年01月23日更新
インターネットに接続する体組成計を活用して慢性心不全患者の在宅管理研究に取り組む野出孝一教授(右)ら=佐賀大学医学部附属病院

インターネットに接続する体組成計を活用して慢性心不全患者の在宅管理研究に取り組む野出孝一教授(右)ら=佐賀大学医学部附属病院

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