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凍結卵子で牛繁殖に成功 佐賀県畜産試験場

 佐賀県畜産試験場(武雄市)は2日、牛の卵子を超低温で凍結保存する技術を実用化し、体外受精で繁殖に成功したと発表した。精子や受精卵の保存技術は確立しているが、卵子は非常に難しいとされてきた。凍結卵子を使った受精卵を再凍結し、雌牛に移植して子牛を繁殖することにも成功している。遺伝的に優れた卵子を長期保存できることで、エース級の「種牛」と「雌牛」の優良種交配が期待される。

 

 卵子は細胞が大きく、水分も多い。冷凍すると氷の結晶が細胞を傷つけ、生存率が下がるなど実用化が難しかった。

 

 同試験場は、エチレングリコールを含んだ特殊な溶液に浸してマイナス196度の液体窒素で凍結する「ガラス化保存法」を採用した。溶液が水分を追い出してガラス状に固まる性質を生かし、通常50%とされるエチレングリコールの濃度を30%に下げるなどして水分の流出量を最適レベルに調整。溶液を微量にして冷却速度を早め、卵子へのダメージを軽減させる工夫も加えた。

 

 保存卵子を受精させて雌牛2頭に移植し、子牛2頭が誕生。さらに保存卵子を受精させて再凍結後、雌牛7頭に移植させた結果、3頭が生まれた。再凍結した受精卵で繁殖させたのは国内初という。凍結卵子が受胎可能な受精卵になる確率は10%以下とされるが、「今回の方法で12~15%にまで上がった」という。

 

 同試験場では「卵子の長期保存で、スーパー種牛と卵子の交配が随時できるほか、口蹄(こうてい)疫などで大量の殺処分が発生しても保存精液との交配で短期復興が可能になる」としている。(梶原)

 

【鹿児島大の小島敏之教授(家畜臨床繁殖学)の話】 卵子は細胞が大きくダメージを受けやすい上、体外受精前に正常な状態で融解しないと受精しないなど凍結保存にはいくつも高いハードルがあり、実用化は非常に困難だった。今回の成功は実用技術になりうると期待できる。

2010年09月03日更新
超低温保存した卵子の受精卵を雌牛に移植し、生まれた子牛(県畜産試験場提供)

超低温保存した卵子の受精卵を雌牛に移植し、生まれた子牛(県畜産試験場提供)

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