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佐賀の人工中絶率、全国最悪に 「原因分からず」現場戸惑い

 佐賀県の2008年度の人口千人あたりの人工中絶率は13・2人で、全国で最も高かったことが厚生労働省のまとめで分かった。近年は全国で高い方から2~3番目という状況が続いていたが、最も高くなったのは過去10年では初めて。年代別でも25~29歳と40歳代が、全国で最も高かった。

 厚労省が、医師が都道府県に届け出た妊娠22週未満の中絶件数を集計した。全国平均は8・8人で、佐賀の13・2人は、熊本、鳥取と同率で全国ワーストだった。4番目に高かったのは福岡の12・3人、5番目は福島の12・2人。

 佐賀県の届け出件数は前年度比130件減の2305件。件数は減少傾向が続いており、過去10年で最も少なかった。5年前に比べて2割以上減っている。

 県内の人工妊娠中絶率はここ10年、全国2~3位の高率で推移。06年度には10代の中絶率が全国ワーストになった。県医師会は9月から「学校医」による性教育プランを始めたばかりで、若者向けの性教育に力を入れる医療関係者は「大人も含め、全体で取り組まなければ、繰り返される」と危機感を持つ。

 県母子保健福祉課は「他県の減少率に佐賀が追いついていない。なぜ、佐賀が高いのか根本的な原因は分からないが、命を大切にするという観点から何ができるか検討したい」と話す。

「根本的な理由分からない」 現場は戸惑い

 2008年度の人工妊娠中絶率が全国ワーストとなった佐賀県。最前線にいる産婦人科医らは「根本的な理由が分からない」と戸惑う。「誤った避妊知識の浸透」「男尊女卑を背景に避妊しない男性が多い」などの声もあるが、根拠はなく推測の域を出ない。医療現場では避妊指導のあり方を見直す動きもある。

 佐賀市で25日夜にあった「避妊指導講習会」。日本産婦人科医会県支部長の内野稔医師は「佐賀はここ数年、不名誉な数字が出ている。何とかならないか苦慮している」とあいさつ。対策の難しさをにじませた。

 人工妊娠中絶率は、08年度に限らず、熊本、福岡など、九州が中絶率の〝上位〟を占めている。そのため、産婦人科医が集まる全国的な会合などでは「九州は男尊女卑が強く、男性が避妊してくれないのを女性が受け入れてしまうのか」といった指摘や、経口避妊薬(ピル)普及の低迷、背景にドメスティックバイオレンス(DV)を疑う意見もあがる。ただ、はっきりとした根拠はみえない。

 講師を務めた大隈良成医師(江北町)は数年前から、中絶に訪れた女性に、「繰り返さない」を視点にした避妊指導を本格的に始めた。

 大隈医師は「避妊していたのに、妊娠した」とする女性は3割で、その半数が、本来の避妊にはあたらない「膣(ちつ)外射精」をあげたという調査結果を報告。「次回は避妊をと言い続けてきたが、その『避妊』の正しい知識を持っていなければ、意味がない」と指導のあり方を検証する必要性を強調した。

 指導のポイントには「手術前に話す」「女性の立場に共感しながら話を聞き、時間をかける」「手術の1週間以内にピルの服用など確実な避妊法を始める」など5つを紹介。参加した助産師や看護師ら約80人に「つらい思いを二度としてほしくないという熱意を持ち、語りかけて」と話した。

 内野支部長は「中絶は女性の体だけでなく、心にも大きく影響する。一方的な伝達にとどまっていなかったか検証を加えながら、正しい知識を伝える努力を続けたい」と話す。

2009年11月30日更新
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