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玄海3号機、きょう原子炉起動 プルサーマル開始へ

 九州電力は4日、国内初となるプルサーマルを実施する東松浦郡玄海町の玄海原発3号機(加圧水型軽水炉、出力118万キロワット)について、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を装てんした原子炉を5日に起動すると発表した。同日深夜には臨界に達し、国の使用前検査を経て、9日から発電を再開する。通常運転復帰は12月2日の予定で、プルサーマル発電が本格的にスタートする。

 同社は10月15日から3号機の燃料集合体193体のうち80体を交換する中で、MOX燃料16体を装てん。18日に作業を終え、原子炉起動に向けて準備を進めていた。

 同社によると、原子炉は5日午前11時ごろに起動、10~13時間で核分裂が一定に保たれる臨界に達する。その後、経産省原子力安全・保安院が出力を調整する制御棒の利き具合や、冷却水に含まれるホウ酸の濃度などを調べる使用前検査を実施。異常がなければ9日から試運転に入り、発電を再開する。

 試運転では出力を30%から50%、75%、90%、100%と段階的に引き上げ、過去のデータとも比較しながら各種装置が正常に機能しているかなどを確認する。原子力安全・保安院は12月2日、燃料が均等に燃えているかなどを調べる総合負荷性能検査を行い、問題がなければ通常運転に復帰する。

 プルサーマルで使用するMOX燃料は、通常のウラン燃料より燃えやすいプルトニウムが含まれているため、制御棒の機能低下が懸念されている。使用済みMOX燃料の処理法も具体的な検討はこれからで、市民団体などは”見切り発車”と反対している。

 同社佐賀支店の石川伸一課長(玄海原子力担当)は「国内初のプルサーマルで、重い責任を感じている。安全を最優先に、地元の理解を得ながら進めていきたい」と述べた。

 

「なぜ強行」市民団体反発 漁業者も中止要請

【写真】プルサーマルの中止を求める要望書を県に提出する「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」のメンバー=県庁
 MOX燃料を装てんした九州電力玄海原発3号機(東松浦郡玄海町)の原子炉が5日に起動することが4日、明らかになった。国内初のプルサーマルの開始に、計画反対を訴え続けてきた市民団体は「問題点が積み残されている。なぜ強行するのか」と、憤りと反発を強めた。特に、MOX燃料の安全性に対する懸念が解決されていないとして、5日は九電、佐賀県、玄海町で抗議行動を展開する。

 「NO!プルサーマル佐賀ん会」や福岡県の市民グループなど5団体はこの日、鳩山首相や直嶋経産相、古川康佐賀県知事などにプルサーマルの中止を求める要望書を提出した。3日間で全国673団体の賛同を得たといい、佐賀県庁では「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」の代表らが県原子力安全対策課の職員に手渡した。

 同会共同世話人の石丸初美さんは「この4年間、不安や疑問に感じたことはその都度、県や九電に説明を求めてきた。だが、納得いく答えは返ってきていない」と強調。九電が「商業機密」として、MOX燃料の自主検査データを開示しないことなどを批判し、「問題が解決されないまま、プルトニウムを使った電気が供給されることになる」と無念さをのぞかせた。ただ、「だからといって何もしないのではなく、問題点は提起し続ける」と口調を強めた。

 また、「止めようプルサーマル・佐賀」の杉野ちせ子さんらは同日、留守茂幸県議会議長に要望書を提出。「MOX燃料の国の検査基準にも疑問が出てきた。こうした問題点を議員にも知ってほしい」と訴えた。

 この日は漁民も動いた。玄海町に隣接する唐津市肥前町の漁業者有志が、唐津市と市議会議長に、プルサーマル中止を佐賀県に求めるよう11人連名の陳情書を提出した。イカ釣り漁を営む岩本平三郎さん(90)は「専門的なことは分からないが、安全性への不安は大きい。漁業者として、きちんと中止を要請しておきたかった」と話した。

【写真】プルサーマルの中止を求める要望書を県に提出する「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」のメンバー=県庁

 

県、検査内容を議会に報告

 佐賀県は4日、県議会が求めていた九州電力玄海原発3号機のプルサーマルで使用するMOX燃料の検査に関する資料をまとめ、全議員に提出した。各検査項目のデータは商業機密として公表されず、結果は「良」「契約通り」などと記し、「安全性は確認されている」としている。

 MOX燃料については、玄海原発用と同じフランスのメロックス工場で製造した関西電力の燃料が、同社の自主検査で一部が「不合格」となった。これを受け、9月定例県議会で、複数の議員が検査資料の提出を求めていた。

 資料の内容は、国の輸入燃料体検査と、九電による自主検査の項目、内容、目的、結果。電気事業法に基づく国の検査は核分裂しやすいウラン235の濃度やプルトニウム含有率、不純物など11項目で、結果はすべて「良」となっている。

 自主検査は、均質な製品の安定供給を目的とした九電独自の検査。プルトニウム含有率や不純物、寸法、外観など11項目で、結果は「良」「契約通り」「過去の実績と同等」と問題がないことを記している。関電の自主検査内容については触れておらず、九電の自主検査との違いは明らかになっていない。

 

県議会、安全・保安院に説明を要請へ

 九州電力玄海原発3号機のプルサーマルについて、佐賀県議会は4日、議会運営委員会理事会を開き、経産省原子力安全・保安院に対し、MOX燃料の安全性などプルサーマルに関する説明を求めることを申し合わせた。1カ月以内に保安院に議会へ来てもらうよう県を通じて要請する。

 MOX燃料の装てん開始日程が公表された10月14日、県民ネット(6人)と共産、公明、市民リベラルの諸会派3人が議運開催などの対応が遅れたことに反発、「今後、議運などに出席しない」と通告していた。

 この日は決算特別委員会の開会時間を遅らせ、議会正常化に向けて協議。県民ネットと諸会派は留守茂幸議長に14日の対応について謝罪を求めるとともに、保安院を呼んで説明を求めることを正常化の条件として申し入れた。

 留守議長は「両会派との信頼関係が損なわれ、配慮に欠けたと反省している」と陳謝。保安院の説明については「相手のあることなので確約はできないが、来てもらうように努力する」と答えた。MOX燃料装てんをめぐる議会運営の混乱は収束し、決算特別委員会は1時間半遅れで開会した。

2009年11月05日更新
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