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炎の劇作家三好十郎多角的に 記念誌完成

 【写真】没後年を機に刊行された記念誌『劇作家三好十郎』の表紙。表紙絵は画家志望だった三好が描いた自画像を載せている

 ゴッホの生涯を描いた「炎の人」など、多くの優れた作品を残した佐賀市出身の劇作家三好十郎(1902-58年)の没後50年記念誌「劇作家三好十郎」ができた。三好と交わった人々が生きざまなどを述懐しているほか、三好が残した戯曲や評論、詩、絵画などから多角的にアプローチ。“炎の劇作家”の実像に迫っている。

 人間の根源を厳しく問いかける作品を生み出した三好十郎。複雑な家庭事情で貧苦の少年期を過ごし、旧制佐賀中学から早稲田大に進み、戯曲の世界に。庶民の生きざまや矛盾に満ちた人間性の問題を描いた「斬(き)られの仙太」「炭塵(ガス)」などの傑作を発表し、51年の「炎の人」は劇団民芸が10万人の観客動員を記録した。

 記念誌は編集者や新聞記者らが編集委員会(山口謙吾代表)を組織して編んだ。三好研究家の宍戸恭一さん(京都府)の「わが師三好十郎」、女優で劇団文化座代表の佐々木愛さんの「三好十郎先生と私」をはじめ、多くの論考や随想を収載した。

 戯曲については演出家の鵜山仁さんや劇作家の堀江安夫さんら、文学の側面では槙林滉二尾道大学芸術文化学部長や坂口博創言社編集人らが寄稿。映画評論家西村雄一郎さんの「映画の時代」、県立美術館学芸員の野中耕介さんが残された絵画作品をたどった「もうひとつの火群」など、さまざまな視点で読み解いている。

 また、作品集に未収録だった詩「貧乏の歌」を載せたほか、佐賀との関係では富崎喜代美さん(佐賀市)がゆかりの地を歩いた「ひなた道ひかげ道」、大園隆二郎県立図書館近世資料編さん室長の「大正4年から9年の佐賀中学」なども。戯曲座で三好に師事した山口謙吾さん(鹿島市)による主要作品解題や著作目録、年譜などの基本資料も充実している。

 編集委員の1人、八田千恵子さんはあとがきに「作品全体の展望、画作や詩作品の掘り起こし、三好の抵抗のよりどころなど今後の三好理解につながるものはほぼ掲載できた」と記述。没後50年を迎えた三好研究の進展に期待している。

 「劇作家三好十郎」は書肆草茫々(しょしくさぼうぼう)刊。B5判で330ページ、本体1500円で、積文館書店のデイトス店と鹿島店、金華堂書店などで扱っている。

【写真】没後年を機に刊行された記念誌『劇作家三好十郎』の表紙。表紙絵は画家志望だった三好が描いた自画像を載せている。

2008年10月30日更新
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