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論説

3月17日付

 

鳩山政権半年 首相は危機直視せよ

 

 鳩山政権は発足半年にして危険水域に入ろうとしている。財政悪化や日米関係の迷走など失政が重なり事態は深刻だ。内閣支持率は30%台になるなど深刻である。鳩山由紀夫首相は早くも正念場を迎えている。原因は明らかだ。国民が「変化」の果実を一向に実感できず、政権への失望感を深めているからにほかならない。政府、与党は現状を厳しく直視してほしい。


 鳩山政権は「変化」を自民党政治の否定に求めた。組織面では「小泉改革」をけん引した経済財政諮問会議に替えて国家戦略室を設け、政策面では事業仕分けや普天間飛行場移設合意案の見直しなどを打ち出した。


 事業仕分けによる既得権益への切り込み、日米密約に関する調査報告は政権交代がなければ実現しなかったろう。だが国民が望む「変化」とは大きなずれがある。なぜ日本経済に元気がないのか、なぜ日本の国際的な地位が低下しているのか-。日本を覆う閉塞(へいそく)感を打破するため、変革期に対応した大きな絵を描き、着実に実行する役割を国民は政権に託したはずだ。


 現状を見ると、経済政策にしろ外交政策にしろ「変化」の方向性が定まらず、内外の信認低下につながっている。政権内では高速道路無料化など各種政策でマニフェストにこだわるあまり方針が揺らいでいるものもある。鳩山首相、小沢一郎民主党幹事長をめぐる政治資金問題や、予算をてこに業界・団体に圧力をかける手法が自民党政治の再現としか映らず、期待感の喪失に拍車を掛けている。


 処方せんは明確だ。政権不信を招いた「政治とカネ」の問題にけじめをつけ、政治混乱の震源である普天間問題に決着をつけることだ。抜本的な信頼回復には、内政外政の重要課題に対し明確な展望を示すことに尽きる。


 中でも経済運営の立て直しは待ったなしだ。国債発行額が税収を上回る異常事態にもかかわらず、財政規律回復について政権からのメッセージは弱い。政府は6月にも中期的な財政運営方針をまとめる。首相を議長とする新年金制度に関する検討会も始まった。「国民の生活が第一」にしても財源なき政策はあり得ない。消費税率の引き上げは先送りしているが、議論まで封印したわけではない。成長戦略の具体化とあわせて財政再建への決意と道筋を早急に示してもらいたい。


 佐賀に絡む政策テーマでは国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査がある。長崎と佐賀などとの間で賛否が割れているが、やっと赤松広隆農林水産相が調整に乗り出し、検討チームを設け、早期の政治判断へ動き出した。漁業者の開門への期待は高い。政権交代で「今までとは違う」という結論を導き出してほしい。


 ここにきて、自民党では参院選を控えて新党結成の動きが表面化し、政界がざわついてきた。自民党の支持率も上がらない。民主党には失望したが、自民党も支持できないということになれば、政治不信は高まり、日本の政治は漂流する。有権者の選択で誕生した鳩山政権である以上、旧来政治から脱皮しようとの初心に立ち返ってほしい。鳩山首相は指導力を発揮し、政治責任を取る覚悟で政権運営に当たるべきだ。(横尾 章)

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