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追加金融緩和策 一息つくが安心は早い(8月31日付)

日銀が、急速な円高進行に歯止めをかけるため、やっと追加金融緩和策を決定した。為替はやや「円安ドル高」方向にぶれたが、期待したほどの効果はなかった。東証の30日終値は約150円を超す上げ幅で1週間ぶりに9千円台を回復した。一息ついた状態だが、これで安心するのはまだ早い。


 追加緩和策の内容は、ドバイショック直後の昨年12月に導入した「新型オペ」の供給額を30兆円程度に増やす。当初10兆円だったが、ことし3月に20兆円程度に拡充していた。融資期間も、これまでの3カ月の2倍となる6カ月を新設する、としている。


 これまで日銀は「景気は緩やかに回復しつつある」とみて静観の構えだった。しかし、今月末に円が1ドル=83円台にまで上がり、輸出企業の業績悪化懸念から株価も9千円台を割り込んだ。政府からも円高対策への協力を迫られ、やっと重い腰を上げた。


 白川方明日銀総裁は、米国の国際経済シンポジウムからの帰国を1日前倒しして、臨時の金融政策決定会合を開いた。追加金融緩和策には9人の委員のうち8人が賛成。1人が反対した。


 円高に対する日銀の対応は、誤算続きだった。市場で米国経済の悲観論が出ていた今月10日、白川総裁は金融政策決定会合で景気見通しも金融政策も据え置いた。直後の米連邦準備制度理事会(FRB)は「追加緩和」の方向を打ち出した。


 市場は「FRBの追加緩和に対し、日銀は無策」と受け取った。円は1ドル=85円を突破、15年ぶりの高値となった。あわてて白川総裁と野田佳彦財務相が円高をけん制する談話を出したが「注意深く見守る」との内容は、さらに円高を加速させた。


 その後、菅直人首相と白川総裁の会談が電話協議でわずか15分だったため、日銀も日本政府も円高是正の断固たる行動をとるつもりがない、と受け止められた。さらに円高は加速した。民主党の党代表選を控えて、政府からも日銀に強い圧力があり、6、7日の定例会合を待たずに臨時会合を開催した。


 急激な円高で輸出企業は大きな打撃を被っている。自動車産業は、輸出を現地生産に切り替えたり、日本からの部品調達を減らそうとしている。日本の中小の部品工場は苦戦を強いられている。電機産業も海外での製品の値上げを余儀なくされ、韓国製品などとの競争力を失っている。


 急激な円高は企業のマインドを冷え込ませる。食い止めるためには、早く手を打たなければならなかった。


 政府は日銀の追加緩和策に合わせて、追加経済対策の基本方針を決定した。家電や住宅のエコポイント制度の延長、拡充や新卒者の就職支援、企業の設備投資の税制優遇などを掲げている。政府と日銀が協調して円高阻止と景気下支えの姿勢を見せることが、市場に対して効果を生む。


 問題なのは、今回の円高が日本発ではなく、米国の景気減速などから来ていることだ。米国も欧州も自国の通貨安を容認している。米国の長期金利0・25%、ユーロ圏は1%とまだ下げる余地があるが、日本は0・1%とゼロ金利に近い。円高圧力を収めるには断固たる決意を見せるしかない。(園田 寛)

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