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伊万里港「重点港湾」に 利用高める戦略がいる(8月29日付)

 国土交通省は、国が優先的に整備を進める「重点港湾」として、佐賀県から伊万里港を選定した。国の「お墨付き」を得たことで今後、整備促進や企業誘致などポートセールスでの利点も大きくなるとみられる。一方で慢性的に輸入超過の状態が続いており、輸出をどう伸ばしていくかが課題だ。

 

 国交省は全国103の重要港湾の中から、国直轄で新たな整備事業を実施する43の「重点港湾」を選定した。これまで重要港湾は海上輸送の拠点として国の手厚い財政支援を受けてきた。だが政権が代わり、甘い需要予測に基づく総花的な整備が国際競争力の低下を招いたとの反省から港湾戦略を見直した。

 

 県内からは伊万里港だけが選ばれた。中国、韓国とを結ぶ五つの外国航路を持ち、コンテナ貨物取扱量では全国重要港湾中、4位の実績を持っていることや、コンテナターミナルの維持管理を民間に委託し、官民協働が進んでいるなど、その将来性が評価されたとみられている。

 

 この10年でコンテナ貨物の取扱量は3・8倍になった。2年前までは順調に伸びていたが、リーマンショック後の不況で頭打ちとなり、他港との競争の中でこの2年は横ばいで推移。その上、コンテナ用の岸壁が一つしかなく航路が増やせないことや、クレーンが不足し処理能力に限界があることが悩みだ。

 

 このため現在、4万トン級の大型貨物船も接岸できる水深13メートル岸壁を増設中で、大型クレーンの設置も進んでいる。その予算確保が課題だ。

 

 しかしもっと大きな問題は、慢性的に輸入超過の状態が続いていることだ。コンテナ貨物での輸入量が約35万4千トンなのに対し輸出は約4万7千トンしかない。輸入に対し輸出は1割強だ。入港する時は貨物は満杯でも、出港する時はほとんど積み荷がない状態が続き効率が悪い。ちなみに輸入品目は家具、日用品・雑貨などで、輸出品目はほとんどが古紙だ。伊万里港近くには木材関連の企業が集積しており、木材製品を輸出できれば一番いい。官民一体となって利用を高める知恵を絞ってほしい。

 

 一方、「重点港湾」の選定から漏れた唐津港の位置付けをどうするかも今後の大きな課題だ。取り扱い貨物は砂や砂利、セメントなどで国内の移動が主体。公共工事や民間の工事が減るに従って取扱量も減少している。貨物の展望が厳しい中で観光とレクリエーションに活路を見いだしていく必要もあるだろう。これは港湾部局だけでは解決しない問題だけに、観光、商工部局とも連携していくべきだ。

 

 伊万里、唐津港を一港化する意見もある。茨城県は2年前、京浜港に対抗するために三つの港を統合して茨城港とした。その上で日立港区、常陸那珂港区、大洗港区として名前を残し役割分担させている。そういうやり方は、佐賀県としても一つの参考になるかもしれない。

 

 港は物流の拠点である。港で貨物を扱うことで背後での企業立地が進み、それが雇用の場も生む。港の発展は地域への波及効果が大きい。その点で港湾戦略をどうするかは重要だ。行政も民間と連携しながら長期的視点に立って有効活用策を立ててほしい。(横尾 章)

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