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救急搬送基準づくり 救命センター軽減念頭に(8月26日付)

 佐賀県が救急患者の「搬送・受け入れ基準」の策定に着手した。疾病の種類や緊急度に応じ搬送先などをあらかじめ定めておくことで、救命救急センターなど一部医療機関への急患集中を分散させ、「たらい回し」や搬送時間の減少につなげることが狙いだ。都会に比べ、県内の救急対応は「比較的スムーズ」(県消防防災課)とされるが基準を明確化することで、的確な体制づくりや搬送のさらなるスピードアップにつなげてほしい。


 救急搬送のたらい回しに関しては、2006年と07年に奈良県で発生した妊婦の事故が記憶に残っている人は多いだろう。06年は分娩中に意識不明になった妊婦が19の病院に搬送を断られ死亡。翌年には妊娠6カ月の女性が、おなかが痛くなり救急車を呼んだが、約3時間、受け入れ病院がなく胎児が死亡した。


 現場到着から医療機関収容までの所要時間は、その後も改善されず、08年の全国平均は27・3分と、10年前より7分近く伸びている。


 照会回数も重症患者のケースで、09年は4回以上が1万3164件と全体の3・2%。08年より1600件ほど減ったものの、3年連続で1万件を大きく上回る深刻な状況だ。照会回数が最も多かったのは東京都の40回で、60代女性が呼吸器系の病気で自宅で動けなくなったケースだった。こうした事態を受け、消防庁は昨年7月に消防法を改正し、救急搬送・受け入れ基準の策定を都道府県に対し義務付けた。


 佐賀県は今月10日、消防や医療関係者を中心に、学識経験者などを加え「県メディカルコントロール」(会長・古賀吉行県医師会常任理事、24人)を設立、協議を始めている。今後は病状の緊急性や専門性に応じた医療機関の分類、リストづくり、救急隊員が医療機関に病状を伝えるための基準などを策定。年度内の制定を目指すが、佐賀県内は都会と状況が異なることを念頭に置き進めてほしい。


 というのも08年の現場到着から医療機関までの平均収容時間は25・1分と全国平均を下回っている。照会回数(09年)も4回以上が全体(34万8233件)の2・5%と全国平均を下回り、地域によってはかかりつけ医にまず照会する仕組みになっているところもあり「実態はもっと少ない」(同課)という。


 問題はむしろ、重篤な患者を主に扱う救命救急センターへの搬送比重が高いことだ。09年は重症以上のケースで全搬送件数2万8456件の23・4%が県立病院や佐賀大病院などに運び込まれ、全国平均(12・2%)の倍近くに上っている。このため「たらい回し」の回避やスピーディーな搬送とともに、救命救急センターの負担軽減という視点を忘れないでほしい。


 「よく断られる病院には照会しなくなる」(県内関係者)というように、救急搬送などは従来、救急隊の経験や医療機関とのつながりなどで受け入れ先を選ぶことが少なからずあるといい、一部の高度医療機関や公的機関に患者が集中しやすい傾向にある。


 ただ、こうした高度医療機関は本来、命にかかわる重篤患者を中心に担うべきことは言うまでもない。今回の基準づくりはそうした人頼みの実態を改め、ルールを明確にし、それを関係者が順守することにある。(澤野 善文)

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