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佐賀県内の2009年6月から1年間の新規就農者数が前年を42人上回り、過去最多の160人になったことが県の調査で分かった。景気低迷で農業が雇用の受け皿になった面はあるが、佐賀農業を活性化していく期待があり、喜ばしい。将来にわたって定着するかが課題だ。
県内の農家1戸当たりの生産農業所得は年間128万9千円(08年)で、九州では宮崎に次いで2番目に多い。しかし基幹的農業従事者の数は減り続けている。農業センサスでみる05年は3万2620人。10年間で18%減となり、65歳以上の高齢者の占める割合も49・8%となった。高齢化、農産物価格の低迷などで将来が見通せずにリタイアする人が多いとみられる。
いかに新規就農者を増やすかが課題だが、今年はちょっと異変が起きた。この10年、100人前後と横ばい傾向だったのが160人と統計を取り始めて以来最多となった。
特に非農家からの「新規参入」が70人と前年の29人から大幅に増えた。このうち法人就業が54人(前年17人)と大部分を占めている。土地、技術、資金がない人がいきなり農業をするのはリスクがあるが、法人に入れば身ひとつで農業ができる。農業と全く関係なかった人が第二の就職口として選んでいるようだ。リストラにあった人や会社勤めに限界を感じ農業に転職した人もいるという。
もちろん自然相手の食料生産や、安全なものを自分で生産したいという、農業そのものへの魅力に引きつけられて参入した人も多いだろう。
新規参入以外では、実家が農業でほかの職業に従事した後に就農する「Uターン」が68人(前年74人)、農家の子弟による「新規学卒」が22人(同15人)だった。年齢構成では30歳以下が79人で全体の半数近くを占めた一方、50歳から64歳までが35人と全体の2割強に上った。「定年帰農者」も多いとみられる。
農業はきつい、汚い、危険の「3K」という職業イメージは昔の話という。今はカッコイイ、感動がある、稼げるという「新3K」の職業とみられている。それを受けて、行政やJAでは新規就農対策を進めている。県青年農業者育成センターでは相談員を増員。県内11地区でJAや市町などが相談会や農業体験セミナーなどを開催し、バックアップ体制ができつつある。
ただ、そうはいっても、農業は甘くはない。単なる職業として選んだ人は長続きしない傾向がある。すぐ収穫に恵まれ、収益が上がるというほど簡単ではないからだ。県農業会議が法人を対象に追跡した調査でも、離職理由のトップは「仕事が合わない」だった。労働時間や内容が自分の思っていたイメージと違っていたということだろう。やはり農業そのものに魅力を感じることが大事な要素のようだ。
技術の習得や農地の確保、機械・施設整備費の負担などハードルもあるが、やり方次第でもうかるし、やりがいが持てる職業だ。地域に溶け込み、先輩農家と交流し、自らも工夫しながら技術力、経営力を磨いてほしい。できれば佐賀農業の活性化、地域の発展に寄与しているというぐらいの気概を持って農業に打ち込んでもらえればと思う。 (横尾 章)
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