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台風シーズン 最悪ケース想定し備えを(8月19日付)

 九州北部をかすめ日本海へ去った台風4号。県内で大きな被害はなく、ほっと胸をなでおろした人も多かったにちがいない。ことしは現在までのところ、台風の発生数は少ない。だがこれから9月にかけて台風の最も多いシーズンに入る。人命や財産、そして実りの秋を迎える農産物などに被害がないことを祈りたい。気候温暖化の影響で、台風の大型化を予測する説もある。最悪のケースを想定した万全の備えが必要だ。


 気象庁によると、日本には平均して毎年10個前後の台風が接近し、そのうち3個くらいが上陸する。もっとも2004年には10個の台風が上陸し、上陸数の記録を更新した。その一方で2000年や08年のように台風が全く上陸しなかった年もある。今年がどうなのか気になるところだ。


 ただ、台風の予報は地震や津波予報よりも精度が高いとされる。人工衛星の最新観測システムや気象予報士の分析によって、予想進路をかなり正確に描くことが可能になった。そうした予報に注意してしっかり準備することが、いざというとき役立つ。


 06年の台風13号や91年の台風19号のように記憶に残る大型台風がある。たとえば19号は91年9月中旬に発生、23日にはフィリピンの東海上で中心気圧925ヘクトパスカル、最大風速50メートルという大型で非常に強い台風となった。26日に宮古島の東海上で西から北東に進路を変えると、勢いを保ったまま27日に佐世保市に上陸。北部九州を通過したあと日本海を猛スピードで進み、翌朝に北海道に再上陸した。


 九州上陸時の中心気圧940ヘクトパスカルは、71年の23号以来約20年ぶりで、観測史上5番目に低かった。阿蘇山で60・9メートル、広島市で58・9メートル、石川県輪島市で57・3メートルなど、最大瞬間風速が全国26地点で観測記録を更新したといえば、暴風雨の強さが想像できるだろう。広島の国宝・厳島神社の能舞台が倒壊、青森では38万トンのリンゴが落下した。全国の死者62人、負傷者1261人。保険支払額は史上最高の5679億円に達した。


 県内でも電柱や街路樹がなぎ倒され、停電が続き、風倒木被害のつめ跡が長く消えなかった。実際、記憶の中でもその日の風は猛烈で、民家の屋根瓦をばらばらと吹き飛ばす風台風の威力をまざまざと見せつけられた。


 巨大な自然の力に対して人間はいかにも無力だ。しかし住む国が台風の進路に位置する以上、万全の備えで望むほかない。もし低平地の佐賀平野を、高潮を伴った超大型台風が、満潮のタイミングで最悪のコースで直撃したら…。沿岸の堤防は堅固で河川の水門やポンプもうまく機能すると信じたい。それでも「絶対安全」とは断言できないのが自然の怖さだろう。最悪のケースも念頭に、常に人命最優先の心構えでいたい。


 道路、橋、電気などライフラインが破壊されたら、いかに速やかに復旧するか。また農林漁業では、直接の被害だけでなく次のシーズンにも減収や品質低下などの影響が及ぶ場合もある。どれだけ有効な支援策を打ち出して生産を持続できるようサポートするか。課題は多い。


 家庭や地域でも、水や食糧の備蓄など、暮らしの中で怠りなく万一の大型台風に備えたい。(副島正純)

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