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終戦の日 次代に継承する意志を(8月15日付)

 65回目の終戦記念日を迎えた。きょうは全国各地で戦没者追悼式や平和への願いを込めた催しが開かれる。戦争体験者は確実に減り、いかにその記憶を次代に継承していくかが課題だ。過去の歴史が忘れ去られることだけは避けなければならない。戦争を知らない若い世代も関心を高め、平和の尊さをかみしめたい。


 終戦の日を前にした今年の広島の「原爆の日」の平和祈念式典は歴史的なものになった。原爆投下国である米国のルース駐日大使が初めて出席したほか、国連の潘基文[パンギムン]事務総長も参列。英仏両国の在日大使館幹部も加わった。長崎の式典にも英仏、そして核保有が確実なイスラエルが初参列した。核軍縮・不拡散の機運はこれまでになく高まっている。


 広島市の秋葉忠利市長は「核兵器廃絶の緊急性は世界に浸透し始めており、大多数の世界市民の声が国際社会を動かす最大の力になりつつある」と取り巻く環境の変化を強調した。


 平和宣言を聞くとき、戦後長い時間が経過しても過去の戦争の傷跡がいまだ癒えていない現実と向き合うことになる。今年のように、一歩前に進んだようにも見えても、解決されない問題が残されている現実に暗然とした気持ちになる。


 あらためてそう思ったのはこのほど開かれた「佐賀市平和展」で講演した長崎原爆被災者協議会会長の谷口稜[すみ]曄さん(81)の言葉だ。「やがて被爆者はいなくなる。忘却で新たな原爆肯定につながるのを恐れる」と話した。戦争体験者は確実に減っている。戦後生まれが人口の75%を占めるようになった今、戦争を経験した人の貴重な証言を伝承しなければ、平和の礎は弱くなるばかりだ。


 戦争体験者には積極的に語ってほしいが、そういう機会を行政や学校、地域がつくることも大切である。県内の各学校などで平和集会が地道に開催されていることを心強く思う。そういう場に語り部として体験者を招くことをしたい。県内でも佐賀市と鳥栖市で空襲があった。これまで証言集などが作られてきたが、体験を共有し、社会全体で戦争を「記憶」できるようにしていきたい。


 諸富中3年生は今年4月に沖縄へ修学旅行に行き、ひめゆりの塔や平和祈念資料館を訪ね、沖縄戦の悲劇を学んだ。こうした学習を重ねることも重要だ。中学、高校も含め、学校で日本の近現代史をあまり教えないといわれている。観念的に「平和が大事だ」といっても浸透しない。加害と被害の両面がある戦争がどういうものかを知らなければならない。歴史教育をもっと見直す必要がある。


 世界を見渡すと、紛争が絶えない地域がある。その中にあって、日本は先の大戦が終わって65年、1人も主権を発動しての戦争で人を殺していないし、1人も死んでいない国だ。だからこそ日本が世界に平和を呼び掛けることができる。唯一の被爆国として核廃絶への道筋もつけたい。


 戦後、日本は復興を遂げ、繁栄を謳歌[おうか]してきた。その中心軸には平和主義があった。それができたのは戦争の傷があまりに深かったからともいえる。これからも惨禍を語り継ぎ、不戦の誓いを新たにしていきたい。(横尾 章)

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