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【第15号】「私たちに何ができるか」自問、共有、行動へ(2011年3月)

 

震災とソーシャルメディア


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 「ひびの」への地震に関する最初の書き込みは発生から6分後の3月11日午後2時51分、埼玉県に住む佐賀県出身の61歳の男性からでした。

 「揺れています。強烈。食器棚も倒れそうで、棚のものも落ちました」。短い文章に緊迫感が伝わってきました。

 その30分後、この男性が再び「余震が続いてます。停電で情報が入ってこない。埼玉県行田市がどれくらいの震度かわかりませんが、マンション前の住宅の屋根が崩れています」と書き込むと、佐賀県内の女性が「埼玉県行田市は震度5強だそうです。気をつけてくださいね」と、通信事情に支障はない佐賀で入手した情報をアップ。停電やインターネットサーバー障害で携帯電話やメールがつながらない中で、「ひびの」が伝言板の役割も果たしました。

【写真】会員それぞれの日記に被災地への思いや情報が続々アップされた。

   ◆   ◆

 以来、「地震」「震災」というキーワードがある日記は、既に400件を超えました。「今私にできることは、節電、電話やメールを控える、事実を心に刻む。それくらいしかできません。世界が応援してくれている今、私も今を感じながら一生懸命祈ります。情報を確かめできることを探します」(12日、大学生)というように、発生当初、自分が何をできるか自問していた思いは、具体的な動きとなっています。

 

 「佐賀県危機管理・広報課ツイッター見て、鳥栖総合庁舎に救援物資届けに行ってきました」 (13日、女性)

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 「支援物資の受付が始まってます。玄関には山のような支援物資が積まれていました。トラックへ積み込んでた同僚たちは汗だく…。夕方には結構ヘロヘロになってました。でも、みんな口々に、世の中捨てたもんじゃないよ、と言います。会社のトラックでペットボトルの水を何十箱も持ってきてくださった方。まだ20代前半と思われるのに財布から何万円も義援金の箱に入れていかれた若いお兄さん。赤ちゃんを連れて、紙オムツを持ってきてくださった若いママさん。たくさんの善意に本当に感動したそうです…。その話を聞いていた私たちもじーんとしました」(15日、女性)

 「私は職場で少しばかりのお金でしかできませんでしたが、今日『緊急物資』と張り紙のある大型トラックが大和インターに向かうのと出会った時は、ぐっと胸の熱くなる思いがしました」(20日、男性)

 このように、身の回りの人以外は見えづらい、さまざまな人の思いと行動が「活字」として可視化され、ひとりでは抱えきれないもどかしさが共有される。そして共感が支援金寄付など具体的な行動へとつながっていく-。これが、人と人をつなぐソーシャルメディアの原動力であり、長い復興を支える持続力となるはずです。

 「ひびの」では、アイドルがブログで呼びかけた「大人の千羽鶴」という募金方法も紹介されていました。それを読んだ女性は22日、実際、コンビニに足を運び、送金したそうです。その日の日記にはこう書かれていました。

 「一度にたくさんの金額は無理。でも、また来月、と積み重ねていければと思いました」


【写真】寒さに凍える人たちへ―被災地に向けて積み込まれる毛布

 

ソーシャルメディア

ブログやツイッター、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)、掲示板、動画共有サイトなど、誰でも情報の発信、交換ができるインターネット上のサービス。個人の携帯端末から送受信できることから、利用者が急増している。

 

人と人、地域と地域つなぐ  宮城 ←SNS連携→ 佐賀

 

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 「ひびの」には「河北新報ひびの支局」というコミュニティ(自由参加のサークル)があります。河北新報は宮城県仙台市に本社を置くブロック紙で、「ひびの支局」に書き込まれた応援メッセージは、河北新報が運営する地域SNS「ふらっと」に転載されます。佐賀と宮城をつないだメディア連携が被災地へ、支援のエールを届けます。

 「自分たちに何ができるか。いろいろ考えてまずは支援物資を送ろうと決めました。わずかな数ではありますが、佐賀県を通して水やミルクがいち早く被災された皆さんの手元に届くことを願っています。これが始まりです。これからもっともっといろんなことを考えて、自分たちにできることを続けていかなければと思っています」(18日、伊万里市の男性)

 こうしたメッセージがその言葉のまま、被災地の人々に届きます。そして「ふらっと」事務局スタッフからは返礼のメッセージが寄せられました。

 「不便な暮らしをしながらも、メディアで、ネットで、佐賀をはじめ全国、世界の皆さんから励まされているというのをひしひし感じています。これに応えないとなると東北人の名がすたります。復興はいつになるか分かりませんが、きっと立ち直ってみせます。きっと皆そう思っているはずです。頑張ります」

 

【識者談話】個人がメディア持つ意義 庄司昌彦さん

 

 阪神大震災が発生した1995年の情報環境は、ネットワーク機能を充実させたウインドウズ95がリリースされる前で、一部の人がパソコン通信を楽しむ程度でした。インターネットの普及で、情報の流れは大きく変わりました。

 ソーシャルメディアが社会インフラとして注目され、ツイッターが情報の共有と拡散に役立ちました。有名無名の「情報ボランティア」が活躍しています。デマもありますが、すぐさま打ち消す情報が流れます。テレビの映像はどうしてもあおりがちで、ネットから情報を入手している人のほうが冷静のようです。

 非日常の出来事に遭遇した時、人は体験を誰かに話したい、ストレスを吐き出したい、と思います。そして、共感、励まし、気遣いのコメントが寄せられる。個人が自分が書けるメディアを持っていることの意義は大きく、人と人、地域と地域をつないでいく力になるはずです。(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター主任研究員)

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