6、7回の集中打で一挙7得点
第89回全国高校野球選手権大会第9日は16日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2回戦4試合があり、引き分けとなっていた県代表の佐賀北と宇治山田商(三重)の再試合は、佐賀北が9―1で振り切り、3回戦に駒を進めた。県勢の3回戦進出は2003年の鳥栖商以来、4年ぶりとなる。
延長15回を戦い4―4で引き分けた14日から中1日。佐賀北は3回裏、宇治山田商に1点を先制されたものの、その直後の4回表に7番江頭英治の適時打で同点とした。6回には5番大串亮平の適時二塁打などで一挙3点を奪い4―1と勝ち越した。
7回には再び大串が2点適時打を放つなど4安打を集め4得点、8回にも1点を加え試合を決めた。先発の馬場将史、6回から救援した久保貴大両投手も安定した投球を見せ、3回以外は得点を許さなかった。
佐賀北は17日、第4試合(午後4時開始予定)で準々決勝進出をかけて前橋商(群馬)と、対戦する。
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▽2回戦
宇治山田商-佐賀北(8時30分、20000人)
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佐賀北
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【佐賀北】 馬場、久保-市丸
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【宇治山田商】 中井、平生、中井-西田
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▽二塁打 平生(宇)、副島、大串、江頭(佐)
▽犠打 井手、市丸3、田中、江頭(佐)木田晃、北川2(宇)
▽盗塁 井手(佐)中井(宇)
▽失策 井手(佐)中野宏2(宇)
▽試合時間 2時間7分
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【戦評】佐賀北がコンパクトな打撃と小技で、宇治山田商投手陣の力の投球を崩した。6、7回の2イニングで合わせて7安打、7得点。走者をためたところで長打も飛び出す効果的な攻撃でビッグイニングをつくり出した。
1―1の6回表無死1、3塁の好機に5番大串が右越えに適時2塁打を放ち2点を勝ち越し(送球間に3塁へ進塁)。続く田中が右前打で畳み掛けた。7回は無死満塁から再び大串が左前に2点適時打。1死後、7番江頭も2点適時二塁打を浴びせ、8―1と大量リード。試合をほぼ決定づけた。
引き分けとなった14日の試合に比べ、球威が落ちていたこともあるが、それ以上に相手投手陣の甘い球を逃さない佐賀北打線の集中力の高さが光った。前回の対戦で失敗が目立ったバントも、この日は6つすべてを成功させた。小技の精度が高かったことが、大量得点の呼び水となった。
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大串“爆発” 勝ち越し、ダメ押し4打点
1―1の6回表、無死一、三塁。佐賀北の5番大串亮平は、宇治山田商の先発・中井が投じた内角高めの直球を迷いなく振り抜いた。打球は、中井の球威を信じて前進守備を敷いた右翼手のはるか頭上を越えていった。
勝ち越しの2点適時二塁打(送球間に三進)。スタンドがどよめく。2打席目までは、いずれも左翼への力のない飛球。それでも「前回と比べ球威がなかったし、いけると思っていた」。14日の対戦では常時、140キロ台が表示された中井の速球。だが、この日は制球重視なのか、驚くほどのスピード、ホップするような威力はない。打力が売りの2年生は、前の試合との「落差」をバットで感じ取っていた。
大串の勢いは止まらない。7回は1死満塁で、代わった平生から再び2者を迎え入れる左前適時打。8回は再登板した中井から中前打を放った。3方向に打ち分け、4打点。「打ったのはすべて直球。練習でやってきたことを出しただけです」。ヒーローは“お立ち台”で、少し照れてみせた。
1年生だった昨夏の県大会からベンチ入り。代打で登場し、いきなり適時打。百崎敏克監督もその能力を高く買った。だが、今年の県大会直前、極度の打撃不振に陥った。練習試合はおろか、打撃マシンの球さえ芯(しん)でとらえられなかった。悩む大串に、百崎監督は「打てる。お前は打てるから」。そう“暗示”をかけ続けながら、代役を探すことなく、スランプ脱出を待った。
「次も勝って、絶対ベスト8までいきます」と大串。甲子園3試合で6安打、6打点。大舞台こそ似合うとばかりにヒットを量産する2年生の主軸は、さらなる高みを見つめている。
【写真=佐賀北―宇治山田商】6回表佐賀北無死一、三塁、大串が右越えに勝ち越し二塁打を放つ=甲子園
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馬場、フォーム修正で切れ戻る
身長164センチ。直球は最速でも130キロに満たない。そんな「小さな投手」が、生命線の制球と球のキレで凡打の山を築いた。宇治山田商打線を5回3安打1失点に抑える好投を見せた佐賀北の先発馬場将史。その姿は3度目となった甲子園のマウンドで、ひときわ大きく見えた。
14日の試合も先発した。5回7安打4失点。味方のエラー絡みで自責点こそつかなかったが、直球、スライダーとも、いつもの切れがなかったことを感じていた。
再試合前日の15日。ビデオで自分の投球をチェックした。春に上手からスリークオーターに変えた。それは普通の投手だった自分を聖地のマウンドまで導いてくれたフォームでもあった。
気付いた点があった。上体の突っ込みが早く、軸足に体重を乗せ切れていない。県大会準々決勝の佐賀西戦の後、佐賀北野球部OBで、現役時代、捕手だった父重孝さん(49)から指摘されていたフォームの乱れだった。
振り上げる右足を内側にひねって軸足にタメをつくる。“雪辱”を期して臨んだこの日のマウンド。意識して投げ込むボールには、好調時の切れが戻り、重心移動がスムーズになった分、制球も安定した。
ボールの切れは相手の4番西田への投球が証明する。前回は二塁打を含む3打数3安打と打ち込まれた。第1打席、簡単に2ストライクと追い込むと外に逃げるスライダーで空振り三振。4回無死一、二塁のピンチでも初球のスライダーで一塁ゴロ併殺に切ってとった。借りを返したような気がした。
「今日はストレートの伸びもあって、満足いく投球でした。正直、もっと投げたかったけど、それは次の試合にとっておきます」。自分で課題を修正し、夢舞台で1試合ごとに成長する左腕は、8強をかけた前橋商(群馬)戦でのベストピッチを力強く誓った。
【写真=佐賀北―宇治山田商】5回を3安打1失点と好投した馬場=阪神甲子園球場
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右脚けがの馬場崎、途中出場で攻守に奮闘
14日の試合で右足の太ももを痛め、この日先発を外れた中堅の馬場崎俊也が、6回から途中出場。攻守にけがを感じさせないプレーを見せた。
俊足を生かした好守で、これまで何度もチームのピンチを救ってきた馬場崎。前の試合の延長13回、走塁中に肉離れを起こし、この日は患部をテーピングで固めて臨んだ。
ベンチでは大きな声で、守備位置を指示するなど外野の“要”の役割をきっちり果たす。途中出場した後も、8回の守備でセンターライナーをスライディングキャッチ。9回にはバント安打を決めるなど、持ち味のスピードを見せつけた。
「大丈夫かなと思ったけど、それほど痛みもなく普通にできました。次もいけます」と馬場崎。17日の3回戦も、その「足」でチームを勝利に導くつもりだ。
【写真=佐賀北―宇治山田商】7回裏一死、7番平生の大飛球を捕球する途中出場の中堅手馬場崎=阪神甲子園球場
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7番江頭、2試合無安打の雪辱果たす同点打
チームに勇気を与える一打だった。0―1の4回表2死一、三塁。佐賀北の7番江頭英治は、フルカウントからの6球目、直球を鮮やかに中前へはじき返した。同点。ここまでの2試合で8打数無安打。「これ以上、乗り遅れるわけにはいかないと思っていた。良かった」。自信を取り戻すために、どうしても欲しかった「一本」に声を弾ませた。
「伏線」はその打席中にあった。宇治山田商・中井のスライダーに反応。右翼ポールのすぐ右側に痛烈なファウルを放った。甲子園にきてから球を見極めようとしすぎ、持ち味の積極性が影を潜めていた2年生は直球にも変化球にも対応できる手応えを、ファウルとなったその一打でつかんだという。
7回には2番手平生の内角スライダーをたたき、ダメを押す2点適時二塁打。江頭は「これで吹っ切れた。次も積極的にいきます」。チームの得点力アップには欠かせない7番打者が「仕切り直し」の大一番で見事に復活した。
【写真=佐賀北―宇治山田商】4回表2死一、三塁、中前へ同点打を放つ7番江頭=阪神甲子園球場
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「つなぐ4番」市丸、3犠打で貢献
頼れる4番が「つなぎ」に徹した。佐賀北の主将市丸大介が、いずれも得点に絡む3犠打を決め勝利に貢献した。
4回表無死一塁。勢いをしっかりと殺した犠打を一球で決めた。その後も三塁線へ「狙ってみた」というプッシュバント、投前に転がしては野選を誘うなど、相手守備をかく乱した。14日の試合では相手投手の球威に押され、送りバント失敗が2度あったチーム。攻略の「鍵」だった小技を確実にこなし、後続の打者を勢いづけた。
8回裏には今大会初打点となる適時打を放った。「とにかく、次につなぐことだけ考えてますから」と市丸。自らを「4番目の打者」と言い切る男がいるからこそ、上下位ムラのない打線が機能している。
【写真=佐賀北―宇治山田商】6回表無死二塁、送りバントを決める4番市丸。三塁手の悪送球を誘い無死一、三塁にチャンスを広げる=阪神甲子園球場
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