延長15回 激闘譲らず引き分け再試合へ
第89回全国高校野球選手権大会の県代表佐賀北は14日の2回戦で、宇治山田商(三重)と対戦。延長15回の熱戦の末、4-4で互いに譲らず、大会規定により引き分け再試合となった。県勢の甲子園再試合は初めて。再試合は16日の第1試合(午前8時半開始予定)に組み込まれた。
佐賀北は初回、一死二塁から3番副島浩史の右前打で先制。さらに1死一、二塁とチャンスを広げ、5番大串亮平の左前打で追加点を挙げた。だが、5回裏二死満塁から宇治山田商中軸の長短打で4点を奪われ、逆転を許した。
佐賀北は6回に代打新川勝政の左前打で1点差に詰め寄り、7回には2死一、二塁から6番田中亮の中前打で同点に追いついた。その後は両チーム2番手投手が力投。佐賀北・久保貴大は6回から10イニングを2安打無失点に抑えた。
夏の甲子園大会での引き分け再試合は昨年の決勝で駒大苫小牧(南北海道)-早実(西東京)が1-1で引き分けて以来、大会史上5度目。春の選抜大会では3度の引き分け再試合がある。
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▽2回戦
宇治山田商-佐賀北(14時55分、27000人)
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計
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佐賀北
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【佐賀北】 馬場、久保-市丸
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【宇治山田商】 平生、中井-西田
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▽三塁打 中井(宇)
▽二塁打 西田、平生(宇)
▽犠打 井手2、市丸、田中(佐)中野宏(宇)
▽盗塁 井手、馬場崎(佐)中井(宇)
▽失策 辻、田中(佐)北川、中井、西田、木田晃(宇)
▽試合時間 3時間5分
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【戦評】佐賀北は中盤、逆転を許したものの粘り強い攻撃で追いついた。再三の勝ち越し機をものにできず、結果的に延長15回引き分け再試合となったが、エース久保の熱投や持ち前のつなぐ打撃に加え、ここ一番での代打起用などベンチワークも含め、一丸となった戦いぶりは評価できる。
49番目のしんがり登場で硬さがみえる宇治山田商に対し、佐賀北は理想的な先制攻撃をみせた。初回1死二塁から3番副島が右前にはじき返し1点。さらに1死一、二塁から5番大串が左前に運び、二走を迎え入れ2―0とした。
2―4の6回表は敵失でつかんだ1死二塁の好機に、8番馬場に代わる代打新川の左前適時打で1点差。続く7回は6番田中の痛烈な打球が遊撃手右を破り、同点とした。
その後は得点圏に走者を進めながらも無得点。13回は1死満塁で中軸を迎えたが、あと一押しができなかった。
先発馬場は初戦に続いて好投したもののバックの乱れもあり、5回に4失点。6回から救援した久保が「背番号1」にふさわしい投球をみせた。直球とスライダーを低めに集め、15回までの10イニングを無失点。回を重ねるごとに調子を上げ、9回からは無安打に封じた。
佐賀北の4つの適時打はいずれも中堅から「逆方向」への打球。コンパクトなスイングで宇治山田商の速球派2投手に力負けはしなかったが、特にセットポジションで高めに浮くボールに手を出した。このボールを見極められるかどうかが、再試合の勝敗の鍵を握りそうだ。
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久保、10回無失点救援―制球抜群 冷静さ貫く
日が傾き、銀傘の影がダイヤモンドをすっぽりと覆う。その真ん中で、177センチの右腕がひときわ輝いて見えた。6回からマウンドに上がった佐賀北の久保貴大が、10イニングを被安打2、無失点で投げ抜いた。「再試合か」。回が進むにつれ、異様な雰囲気に包まれるスタンドとは裏腹に「疲れも、特別な緊張もなかった」。強がりではない。背番号1には、そう言い切れるだけの落ち着きとタフさがあった。
マウンドに上がった6回こそ2死から右中間に2塁打を浴びたものの「とにかく球が切れていた。県大会を通しベストピッチング」。「女房役」の市丸大介が振り返る通り、130キロ台後半の直球、横に流れるスライダーを力まず、そして丁寧に低めへと投げ込んでいく。特に外角への制球が抜群で、9回から6イニングを無安打。10―12回の3イニングで見逃しを含む4三振を奪った。
回を増すごとに、重圧に押しつぶされそうになってもおかしくないじりじりとした展開。それでも右腕は「(県大会準々決勝の)佐賀西戦に比べたら、別に何ともなかった」。冷静さを欠き、自らの制球難で何度も逆転のピンチを背負った約1カ月前に比べれば、「絶体絶命というほど慌てるものではなかった」。大舞台だからこそ、淡々と投げ抜くことの方が賢明だということをしっかりと「学習」していた。
2日後の再戦。久保は「次は内容じゃない。とにかく勝ちにいくだけ」と強気に語ったが、もちろん「冷静」の2文字を忘れるつもりはない。県大会で「ちょっと気が緩んでしまって」下位打線に連打を浴びていたころの「もろさ」も見られない。精神的に一回り大きくなった男が、聖地のマウンドを楽しんでいる。
【写真】【宇治山田商―佐賀北】6回から登板し15回までを無失点と好投した佐賀北2番手の久保=甲子園
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2年生コンビ 躍動―「意地」と「雪辱」の一振り
チームの窮地 救う―追撃 新川、同点 田中
スペシャリストの「意地」と「雪辱」を期した一振りだった。それぞれの思いを胸に秘め、チャンスで打席に向かった2年生2人が、追い込まれたチームの窮地を救った。
逆転を許した直後の6回表。一死二塁で代打に入った新川勝政。県大会での実績はわずか1打席(四球)ながら、抜群の打撃センスで代打の1番手を務める。「チャンスがあったら行く」と百崎敏克監督から言われ、巡ってきた好機。指揮官が送った言葉は「お前の仕事をしてこい」だった。
試合中、打者のバット引きをしながら宇治山田商の先発平生の配球をじっくり観察した。「ボールが先行したら直球でストライクを取りにくる」。読みは当たった。カウント0―2からの3球目。真ん中高めの直球を鮮やかに左前にはじき返す。
「本当は足が震えるぐらい緊張してたんです」と新川。しかし「大きなバックスクリーンを見てたら『やってやる』という気持ちに変わってました」。冷静な観察眼と大舞台で動じない度胸が生んだ”起死回生”の一打だった。
7回2死一、二塁で続いたのは、5回に自らのエラーで逆転のきっかけを与えた田中亮。主将の市丸大介からは「気にせず、次のプレーに集中しろ」と声を掛けられていたが、気にならないはずがない。
「自分のバットで絶対に同点にする」。相手2番手の中井の直球を待った。コンパクトに振り抜く。新チーム結成以来、ずっとテーマにしてきたスイングで勝負し、狙い通りの直球をたたいた。
「チームに迷惑かけた分を少し返せたけど、次の試合では(久保先輩ら)投手陣が安心して投げられるようにきっちり守ります」と田中。同点打にも笑顔はなく、引き締まった表情で再戦でのさらなるリベンジを誓った。
【写真・上】6回表佐賀北1死二塁、代打新川が左前に適時打を放ちガッツポーズ=甲子園
【写真・下】7回表佐賀北2死一、二塁、田中が中前に同点打を放つ=甲子園
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初回2点、鮮やか先制―1番辻 特打ち効果実る
8打席中、7度の出塁。福井商との1回戦で4打数無安打に終わり、リードオフマンの役割を果たせなかった佐賀北の1番辻尭人が、先制の口火となる左前打を含む2安打と5四球の活躍を見せた。
1回戦後に、志願の特打ちを敢行した。「ヒットが欲しい」。気持ちばかりが先行する。そんな辻に百崎監督のアドバイスは単純明快なものだった。「ボールを見ろ」。スイングの形などに気を取られていた自分に気付いた。
しっかりボールを見るという基本ができていなかったのは数字でも明らかだった。福井商戦では4打席中、3打席までが2球目までに打ち取られていた。その反省を生かし「しっかりボールを見極めることができた」と振り返った。
「ヒットじゃなくても、塁に出て、チャンスをつくることが自分の役割」と辻。ただ、この日は出塁はするもののホーム生還は初回の1回にとどまった。「次はもっとホームを駆け抜けたい」。復活を見せた切り込み隊長が、再戦の舞台でも、チームをけん引する。
【写真】1回表一死二塁、3番副島の右前適時打で先制のホームを踏む二走辻=甲子園
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堅守、勝ち越し許さず
再三の好守で、6回からスコアボードに10個の「0」を刻んだ。球際の強さと冷静な判断で相手に勝ち越しを許さなかった佐賀北守備陣。「最後まで気持ちを切らさずやれた」と口をそろえた。
10回裏一死走者なしから、宇治山田商の2番片岡が放った左中間方向への飛球。中堅・馬場崎俊也は50メートル走6秒2という快足を飛ばし懸命に背走した。「絶対に越されない」。右翼方向から吹く「浜風」に乗って伸びる打球。ためらわず体を伸ばし、ダイビングすると白球はグラブに収まった。抜けていれば長打。続く打者は5回に勝ち越しの3点適時3塁打を放っていた中井。「危機回避」の美技にベンチ、スタンドはどよめいた。
バッテリーを含めた内野陣も「次の塁は許さない」と、敏速な犠打処理などでピンチを最小限に食い止める。守りの要・捕手の市丸大介はこの日2度の盗塁阻止を記録。15回もリードの大きい一走に、矢のようなけん制を入れるなど集中力を切らさず守り抜いた。
「次も攻めの気持ちを貫きます」と馬場崎。攻撃だけでなく果敢なディフェンスでも、相手に重圧をかけていくつもりだ。
【写真・上】10回裏宇治山田商1死、片岡の打球を中堅手馬場崎が飛びついて好捕=甲子園
【写真・下】2回裏宇治山田商無死2塁、中野宏の投前バンドで3塁を狙った西田がタッチアウト。3塁手副島=甲子園
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