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1月29日付
 人は、いまわの際、魂が極まって命尽きんとするその瞬間、安らぐべき父や母の懐を求めるという。戦時中、死を覚悟した若き特攻隊員が「父さーん、母さーん」と叫んで飛び立ったという話も聞くが、人間にとって深い親の懐こそ〝命の寄る辺〟であろう◆大人ですらそうであるなら、幼い子ならなおのこと。やさしい父や母の懐に最後は帰るものだと思い定めているだろうに、「子どもは親の所有物」と言わんばかりにわが子の命を奪う親がいる。増え続ける児童虐待。〝寄る辺なき命〟の悲しさである◆先日、東京・江戸川区で両親から激しい暴行を受けていた7歳男児が亡くなった。逮捕された両親はまたしても「しつけだった」とうそぶいているそうだが、救いを求めていただろうその子の目は深い絶望に沈んでいたに違いない◆そんな子どもたちと昼夜向き合っている児童相談所の全国調査によると、児童虐待の件数はこのところ年間4万人を超えている。叫ぶことも泣くこともできず息を殺して親たちの暴力におびえている幼い子たちを救ってやらなければ◆児童虐待の撲滅を訴え続けた故祖父江文弘さん(愛知県の児童養護施設・暁学園元園長)は「親の暴力の渦に巻き込まれている子どもたちを間近に見てしまった以上、見なかったことにすることはできなかった」(『小さい人を救えない国ニッポン』ポプラ社)と闘ってきた◆祖父江さんの遺言ともいうべき「行動を起こすのは、(虐待に)出会った者、見た者の責任である」という言葉をかみしめたい。この思いを共有することができれば、暴力におびえている子どものすべてとはいわないが、目の前のその子ひとりぐらいは救えるかもしれないと思うのである。(賢)
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