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眞子さんのパイプ(12年2月12日)

 画家たちの酒の席などで「眞子(まなこ)達夫さんのパイプの絵はすごかった」という話をよく聞いた。本人はまだ描き続けていたのに、いつも過去形で語られた。周辺の画家たちにとって、眞子さんのパイプはそれほど強烈な印象だったということだろう◆眞子さんは4年前に67歳で亡くなった。活動をともにした画家らが企画し、きょうまで佐賀市の県立美術館で回顧展を開いている。うわさの「パイプ・シリーズ」はオレンジ、赤、青、緑、黄など鮮やかな配色で、太いパイプがくねる空間を描いている◆なるほど、これは新鮮だっただろう。それまでの佐賀画壇は、風景や人物を絵の具を盛り上げて情熱的に描く日展系の画風が主流だった。眞子さんの絵は、幾何学的で薄塗り。若手画家たちが、「眞子に続け」と興奮した様子は想像できる◆ところが眞子さんは31歳のとき、脳梗塞で倒れた。1年間の闘病生活を経て再び描き始めたが、作品はしゃれたパイプ・シリーズとは似ても似つかない泥臭いものだった。森の中の人物や樹木や野菜などだ◆「時代の混乱と矛盾を表現しなければならない」と言っていた眞子さんは、病気を経て「自然の命を大切にしたい」と思うようになった。どちらも眞子さんであり、色彩感覚は共通している。最後まで衰えなかった絵画への情熱が伝わってくる。(園)

2012年02月12日更新

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