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8月20日付
 「ぼうりょくではないけど、ぼうりょくよりもひさんだった。かなしかった。ぼくはすべて聞いていた。あの4人にいじめられていた、ぼくは死ぬ」(「遺書」幻冬舎)◆10年ほど前、長野県で当時13歳の少年が残していた最後のメモである。少年はこの遺書を書いて13日目、自宅ベランダにひもをかけ、自らの命を絶った。それまで彼は、家族にはもちろん周囲にも自殺するなどというそぶりを全く見せていなかった◆両親はわが子がいじめを受けていたことをその遺書で初めて知ったのだ。まだ子どもの域を脱していない中1少年。死を決意しながらも生と死のはざまで揺れ動く心の叫びが、わずか数行のメモに刻まれている。死を決意してから13日間。少年のあまりにも長い葛藤(かっとう)のときを思えば胸が詰まる◆生まれてわずか十数年。少年を追い詰めたものは一体何だ。10代のあまりにも短い、生き急ぐ人生をやりきれなく思うのに、大阪で8歳女児が自宅のベランダの物干しにタオルを掛け、首をつって亡くなった。警察では自殺とみている◆女の子は1月25日に転入。直後の2月1日に道具箱に「しね」と書かれていたことを知った母親が「いじめでは」と学校に相談。15日にも教科書やドリルに同様の落書きが。今のところいじめと自殺の関連は特定できず真相は分からないが、女の子が転校生として疎外感や孤立感を感じてはいなかったか◆かつて「まれびと」という言葉があった。よそから訪れた客、いわば“異人”のこと。それは不思議と魅力的な存在であった。だが今、転校生など“まれびと”が畏敬(いけい)の対象になるのは困難で、むしろ排除や差別の対象になってしまう。その想像力のない排他的感情が尊い命をも奪ってしまうのである。(賢)