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日中人形アニメ育ての親 故持永只仁に焦点 2月にシンポ

国際優秀作なども上映

 

 戦後間もなく、日本と中国で人形アニメーションの扉を開いたのは佐賀で少年期を過ごした持永只仁氏(1919~99年)だった。中国と日本を行き来し、アニメーターたちを数多く育て「日中アニメーションの恩人」といわれる持永氏の功績にスポットを当てたシンポジウムが、2月5日から7日まで佐賀市白山のエスプラッツで開かれる。

 

写真
 持永氏は東京生まれ。満州鉄道に勤務していた父晃、母シカオとともに1歳で中国長春市に渡った。父の急逝などで両親の古里の佐賀市に移り、西与賀小3年から龍谷中卒業まで佐賀で過ごした。

 

 東京の日本美術学校図案応用科を卒業後、芸術映画社に入社。アニメ映画の巨匠、瀬尾光世氏の助手として日本初の長編アニメ「桃太郎の海鷲」などの秀作を世に送り出した。

 

 持永氏の波乱の人形アニメーション人生は、ここから始まる。終戦間近の45年5月、妻子と満州へ渡り満州映画協会に入社。そこで、雑用しか与えられなかった中国人助手たちの待遇に疑問を抱き、動画の描き方などアニメの基礎を教えた。そして終戦。中国人スタッフと、蒋介石の国民党軍と対する八路軍と行動を共にする。

 

 軍の士気を鼓舞しようと始めたのが人形アニメーションによる映画制作。試行錯誤しながら関節の作り方や動かし方などを研究して発表した「皇帝の夢」(46年)は絶賛され、中国初の人形アニメーションとして現在も高い評価を得ている。

 

 53年に帰国。「ちびくろさんぼのとらたいじ」(56年)はバンクーバー国際映画祭児童映画部門最優秀賞に輝いた。「真っ赤なお鼻のトナカイさんは~」の歌とともに、米国の人形アニメーションの最高傑作とされる「ルドルフ物語~赤い鼻のトナカイ~」(64年)の人形制作も持永氏が担当した。

 

写真
 持永氏は、後進への技術指導も惜しまなかった。薫陶を受けたのは、現在の人形アニメーション界の第一人者、川本喜八郎氏や、「牧笛」などで知られる世界的なアニメ作家、特偉氏などそうそうたる顔ぶれだ。

 

 埼玉県所沢市には持永氏のスタジオが残っており、約200体の人形が保管されている。管理する長女伯子さん(67)は「年配の方なら一度は目にしている。父が亡くなり10年。佐賀のみなさんに魂の入った作品を見てほしい」と話している。

 

 シンポジウムは文化庁、県地域文化芸術振興プラン実行委員会、佐賀大学ふるさと映像塾の主催。CM「NTTドコモダケ」を手掛けた真賀里文子氏、中国のアニメーションカメラマンの段孝萱氏ら日中の教え子ら第一線のアニメーターが議論を展開。「ちびくろさんぼのとらたいじ」「ぶんぶくちゃがま」なども上映する。参加無料。

 

 持永只仁をめぐる日中アニメ・シンポジウムの主な内容は次の通り。

 

2月5日

  • 講演「中国アニメーションの現状」(14時)
  • シンポ「天津電影動画の新たなる動き(16時)

6日

  • 持永作品「アリチャン」など上映(10時)
  • 鈴木伸一氏講演(13時)
  • 持永伯子氏講演(15時)
  • シンポ「持永只仁の世界」(16時)

7日

  • 持永作品「ちびくろさんぼのとらたいじ」など上映(10時)
  • 真賀里文子氏講演(15時)
  • シンポ「日本アニメーションの現状将来」(16時半)

 問い合わせは佐賀大学ふるさと映像塾、電話0952(28)8374へ。

 

【写真上】日本と中国で人形アニメーションの世界を切り開いた持永只仁氏。人形アニメを制作する

 

【写真下】バンクーバー国際映画祭児童映画部門で最優秀になった「ちびくろさんぼのとらたいじ」(1956年)

10年01月23日更新
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