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「吉野ケ里こそ邪馬台国」 古代学者奥野正男さんが著作集

「畿内VS九州」論争に一石 青銅鏡や文献で持論展開

 

 「邪馬台国九州説」を唱え、30年間執筆活動を続けている古代学者奥野正男さん(78)=福岡県遠賀町=が、古代史の著作集(全5巻)を福岡の梓書院から出版する。1巻「邪馬台国はここだ─吉野ケ里はヒミコの居城」を今月下旬に刊行し、半年ごとに1巻ずつ発行していく予定で、「考古学的にも、文献的にも吉野ケ里こそが邪馬台国であることを示したい」と話している。

 

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 奥野さんは札幌市出身。1980年、小説家時代に出した邪馬台国九州説の論文が高く評価され、古代史研究に専念。佐賀女子短大非常勤講師、宮崎公立大教授を経て、現在、筑紫古代文化研究会代表などを務めている。

 

 邪馬台国と卑弥呼が古代史に登場するのは、3世紀の中国の歴史書「魏志倭人伝」で、「西暦238年、女王卑弥呼が魏に使者を派遣」「同247年、卑弥呼の死」などが記されている。

 

 同国の謎を解くことは、古墳時代に成立したといわれる大和朝廷の起源が弥生時代までさかのぼるか否かを解明することにつながり、畿内(近畿)説と九州説に分かれ、激しい論争が続いている。

 

 魏志倭人伝には「女王に銅鏡百枚を与えた」という記述があり、そこから「三角縁神獣鏡─卑弥呼の鏡」として、これが多数出土した畿内を邪馬台国とする説が考古学の世界で多数派。昨年秋、巨大な建物跡が見つかった奈良県桜井市の纒向遺跡が「卑弥呼の宮殿か?」として注目を集めている。

 

 奥野さんは日中両国から出土している青銅鏡の研究を重ね、三角縁神獣鏡を根拠とする畿内説に異論を唱えており、「三角縁神獣鏡は中国に出土例がない。国産の鏡の可能性が高く、魏の皇帝から贈られたものでない」と主張。「甕棺の中から遺体と一緒に後漢鏡が数多く見つかった吉野ケ里遺跡こそが邪馬台国」と訴えている。

 

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 また、著作集1巻では中国沿岸部「帯方郡」から邪馬台国までの行程を記した「魏志倭人伝」の新解釈の論文を新しく加えており、畿内説が「方角の間違いをただせば、つじつまが合う」と主張するのに対し、「魏の時代には、すでに中国に羅針盤があり、間違うはずがない」と反論。

 

 魏志倭人伝が「里」(距離)と「日月」(時間)を併用した表記になっている点に、「畿内説が里数と日数を”足し算”しているのは漢文の文法的にもおかしい。『これだけの距離には、これだけの時間がかかる』と読めば、方角的に正しい九州説は距離においても矛盾はない」と力説する。

 

 奥野さんは昨年4月から「邪馬台国を考える会」代表を務め、佐賀県内で公開講座を重ねている。「資料をきちんと読み、丁寧にたどっていけば、真実は九州説にあると確信している。吉野ケ里がある佐賀の人たちにこそ、本当のことを知って欲しい」と訴える。

 

 奥野さんの著作集への問い合わせは梓書院、電話092(643)7075へ。

 

【写真上】邪馬台国九州説を公開講座で力説する奥野正男さん=16日、佐賀市


【写真下】著作集1巻「邪馬台国はここだ─吉野ケ里はヒミコの居城」(梓書院)

2010年01月22日更新