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硬膜下血腫について(診察室から/07年11月01日)

硬膜下血腫について-軽度の打撲でも発症

挿絵
 「硬膜下血腫(しゅ)」とは、脳組織を保護する硬膜の下に血液がたまる疾患で、原因は頭部打撲(外傷)による場合がほとんどです。打撲をしてから発症するまでの時間の違いで、2つのタイプがあります。

 ひとつは打撲後に脳表面の血管に傷が付き、短時間のうちに大出血をきたして意識障害や手足の運動障害が起こるタイプで「急性硬膜下血腫」といい、交通事故や転落などの激しい打撲の場合にみられます。これに対して、打撲直後は無症状であっても1カ月くらい経過してから歩行障害などの症状が出現する「慢性硬膜下血腫」があります。

 このタイプは打撲が本人も記憶にないくらいの軽度である場合もあり、周囲の方が「言うことがおかしい」「歩き方が変だ」「元気がなくなった」などの症状に気付き、来院して発見されることがあります。

 特に高齢者では、脳が委縮し脳と硬膜の間にすき間ができており、軽度の打撲でも脳が揺り動かされ、このすき間を橋渡しする血管が切れてしまって起こります。治療法は「急性硬膜下血腫」では、全身麻酔下に緊急開頭術を行い、「慢性硬膜下血腫」の場合には、局所麻酔下に穿頭(せんとう)術を行います。

 両方ともうまく血腫が除去され、脳損傷をくい止めることができれば症状は改善してきます。高齢の方は特に、頭部を打撲しないように気をつけてください。また、打撲後に歩行障害や記銘力低下などの症状に気が付いたら、頭蓋(ずがい)内精査をしてみることをお勧めします。(田口明・福田脳神経外科病院院長)