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次点永渕さん当選確定―県選管の上告退ける (07年2月28日)

 2005年10月の佐賀市議選の開票作業がずさんだったとして、次点落選の永渕利己さん(71)らが「選挙無効」と「最下位当選者の当選無効」を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷(上田豊三裁判長)は27日、最下位当選した吉川隆さん(55)の当選を無効とした一審・福岡高裁判決を支持、県選管と吉川さんの上告を退ける決定をした。永渕さんの繰り上げ当選が確定した。


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繰り上げ当選について支援者と連絡を取り合う永渕利己さん=佐賀市高木瀬町の自宅
 判決の確定により、佐賀市選管は近く選挙会を開き、当選人の変更を決める。

 訴訟は「永渕としゆき」と記載された疑問票8票の取り扱いが争点となった。原告の永渕さん側は「いずれも永渕氏の有効票とみるべきで、0.226票差で次点落選した永渕氏の繰り上げ当選となる」と主張。

 これに対し、県選管側は「同日選挙だった市長選の両候補名は『としゆき』で、市長候補者に投票したつもりで記載した可能性があり、無効とせざるを得ない」と反論したが、昨年八月の高裁判決は「『永渕』と記載している以上、投票者の意思を尊重すれば有効とすべき」と原告を支持した。選挙無効の訴えは棄却された。

 県選管と吉川さんは9月、高裁判決を不服として最高裁に上告。上告理由で県選管は「『永渕としゆき』票は高裁段階で初めて争点となった」と審理の不十分さを主張、吉川さん側は高裁判決が引用した判例の解釈に誤りがあると訴えたが、いずれも退けられた。

 永渕さんは「本当にほっとした。自分を支えてくれた支持者の励ましでここまで来られた」。県選管は「正式な文書が届いていないため、コメントできない」とした。

 県内では、県・市町選管への審査申し立てで首長や議員の当落が入れ替わったのは戦後5回あるが、裁判による入れ替えは初めて。

佐賀市選管、あす1日にも選挙会

 最高裁が上告を退けたことを受け、県選管から正式通知があれば佐賀市選管は、吉川隆さんの「当選無効」を告示する。この後、市議選時の選挙長(市総務部長)や立会人計11人で構成する選挙会を開き、永渕利己さんの「当選」を決定、告示する。

 県選管から28日に正式な通知が来た場合、「速やかにしないといけない」(市選管)と、選挙会を早ければ翌日の一日にも開くことにしている。

 市選管によると、吉川さんの「当選無効」は最高裁の決定日。これまで支払われていた報酬は議員活動に対するものであり、返却の必要はない。永渕さんには当選告示後の報酬が支払われる。

永渕さん 吉報に安堵―1年4カ月「長かった」

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繰り上げ当選が決まり、後援会長の野口文雄さんと固い握手を交わしす永渕利己さん=佐賀市高木瀬
 佐賀市議選の最下位当選と次点者の当落入れ替えが、27日確定した。明暗を分けた当事者からは「待ったかいがあった」「受け入れるしかない」と、安堵(あんど)と苦渋の言葉が漏れた。市町村合併後の新市の選良を決める選挙。得票集計ミスに端を発した混乱は、統一地方選に向け開票作業の見直しも迫り、“一票の重み”は複雑な波紋を広げた。

 「本当に長かった」。佐賀新聞社の取材で最高裁判決を知った永渕利己さん(71)=佐賀市高木瀬町=は安堵(あんど)の表情を浮かべた。自宅には知らせを聞いた支援者が集まり、1年4カ月待ち望んだ吉報を分かち合った。

 2006年3月の提訴前。親類の反対や高齢もあり、一度は議員への道をあきらめかけた。しかし、後援会長の野口文雄さん(79)=同高木瀬町=から「1,752票の支持がある。もう一度花を咲かせんといかんばい」と背中を押された。永渕さんは、真っ先に野口さんに繰り上げ当選を伝え「応援ありがとうございました」と固い握手を交わした。

 「0.226票差」の落選に苦しんだ支持者もいる。近所の光石勝敏さん(69)は投票日の朝、交通事故に遭い投票できなかった。「自分が投票していればと思うと眠れない日もあった。やっと肩の荷が下りた」。連絡を受け自宅を訪れた光石さんに、永渕さんは「苦しめてすまなかった」と声をかけた。

 選管の集計ミスに端を発した今回の訴訟。永渕さんは「多くの人に迷惑をかけたし、後味の悪さはぬぐえない。選管の運営については議会でも言及したい」と唇をかみしめた。

 議員としての任期は約2年8カ月。永渕さんは「農家の声を代表して、合併した佐賀市の発展に全力で取り組みたい」と力強く語った。

「厳しい結果」市選管困惑

 福岡高裁の判決を不服として上告した県選管には27日午後、最高裁から「却下」という電話連絡があった。判決理由など正式文書がまだ届いていないため、県選管は「詳しいことは分からず、コメントはできない」としている。

 有効票、無効票の取り扱いが争点になっていただけに、佐賀市選管は「(却下が事実なら)厳しい結果が出た。有効票の判断基準を見直すことになるだろう。慎重に取り扱わなくてはならない」と困惑を隠さない。

 ただ訴訟まで発展した一連の混乱の発端は得票の集計ミス。市選管はこの4月の統一地方選から自動入力システムを導入するなど、開票作業を全面的に見直す。ただ人がやることに変わりはなく「事務手順の周知徹底を図りたい」と話す。

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