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vol.03 海の森植林事業~森へ行きましょう(2007年)

引地 秀司さん

vol.03 海の森植林事業~森へ行きましょう

引地 秀司さん

市民グループ「なんでも探検隊」(長崎市)主宰。建設会社退職後、帰郷し、郷土の自然保護活動にかかわる。森林インストラクター、環境省環境カウンセラーの資格を持ち、著書に『多良岳の休日』(長崎新聞社刊)。
長崎市宝栄町。55歳。

 8月上旬、鹿島市の矢筈国有林で行われた"海の森"下刈り作業に参加した。いわゆる"漁師さんの植林"事業の一環である。有明干潟に思いを馳せる植林は、日ごろから「海~川~山は連続した自然」と主張する小生にぴったりのボランティア作業と思ったのだ。問題は自分の体力。真夏の炎天下で耐えられるだろうか?
作業造林地に着いたのは9時。早くも太陽ぎらぎら、しかも風がない。「かかれ!」の号令とともに参加者170人が斜面の草むらに取り付く。ここは人工林(針葉樹)伐採跡地。そこにクヌギなど落葉広葉樹の苗木が植えられたものの、成長がより速い雑草木が覆いかぶさってくるので除去するのである。大鎌(通称:なぎなた)を振るうと眼鏡を伝って流れ落ちる汗。そのうち暑さに耐えられなくなってきてペースダウン。「休憩!」の合図にほっとする。30分経過していた。用意されたお茶をいただき、頭から水をかぶって熱中症対策。さらに30分間頑張ると本日の作業が終了し、疲労とともに満足感が残った。

 わが家にも小規模な雑木林がある。戦前は自家で使う薪(まき)を採取していたらしいが、現在は人が入る事もなく"荒れた里山"状態だ。粗大ごみも投棄されている。数年前、隣地に居住する方から苦情を頂戴した。それを機に、ごみの除去、侵入したクズや竹の駆除、林内風通しのための伐採を始めた。とは言うものの山仕事は全くもって未経験。鉈や大鎌、鋸や梯子を購入し手探り状態でスタートした。プロとの交流も必要と思い、人工林施業ボランティアとして間伐を体験し、関連団体主催のチェーンソー取扱講習を受けたりした。

 山の仕事は刃物研ぎから始まる。大鎌は鎌を固定し砥石を動かして砥ぐ。ぼんやりしていると手を研いでしまう。最初は怖かったが、近ごろようやく砥石のあてがい方が分かってきた。刃先を眺めて「うまく研げたわい」とにんまりしている姿は、ある意味不気味かも。
山で最も危険な生物はスズメバチ。出会っても刺激しないよう極力注意している。しかしアシナガバチからは頻繁に首筋を刺され、痒みを伴うしこりが数日間残る。ハチアレルギーが心配なので、時々医者に検査をしてもらうようになった。それでも山へ向かうのは義務感からではなく楽しいからだ。数年後の雑木林の姿を思い描きながら、試行錯誤を楽しむのである。

 最近、地球温暖化を抑制する森林の効用がよく言われる。でもなかなか実感がわかないし、数値で表現されても半信半疑である。頭で考えるよりも、森に入って遊んだり、山仕事を経験したりするとイメージがわくかもしれない。人、木に寄るを「休」という。そう、まずは「森へ行きましょう」。遠くの有名な場所ではなく、近場の山や林でいいんです。

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