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オスプレイ事故

飛行停止し安全確保を

2017年08月11日 09時26分

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の新型輸送機オスプレイがオーストラリア沖で墜落し、海兵隊員3人が死亡する事故が起きた。米軍は事故の深刻度を最も重大な「クラスA」にあたると発表。これを受けて、日本政府が国内での飛行自粛を申し入れたにもかかわらず、米軍は沖縄県内でオスプレイを飛行させた。

 重大事故が起きた場合、まず安全を確保した上で原因究明を尽くすのが当然の対応だが、信じられない思いである。日米間では当たり前の原則さえ守られないのが現実だ。ここは日本の空である。

 事故原因の究明まで飛行中止を求めている沖縄県では「軍事優先でやりたい放題だ」と批判の声が上がっているが、当然のことだ。

 普天間所属のオスプレイは、昨年12月に沖縄県名護市の浅瀬に不時着、大破する事故を起こした。その際も事故からわずか6日後に運用が全面再開されている。

 米軍は今回の事故について、事故を起こした部隊による48時間の運用停止と初期の事故調査などを踏まえた結果、オスプレイの安全を確認した上で飛行を継続する決定をしたとの声明を発表した。ただ、具体的根拠や事故原因は明らかにはしていない。日本政府は米側に飛行を直ちに停止し、事故原因の究明と説明を尽くすよう求め続ける必要がある。

 またオスプレイが、北海道で実施される陸上自衛隊と米海兵隊の共同訓練について、28日までの期間中に参加する可能性が高くなったという。沖縄県外でも飛行するとなれば、関係地からの反発も強くなろう。

 オスプレイは開発段階からトラブルが相次ぎ、量産決定後の2012年にモロッコで、15年には米ハワイ州で死亡事故を起こしている。今回の事故は海上で輸送揚陸艦への着艦中にデッキに衝突し墜落した。事故時の態様はさまざまだが、なぜ重大事故が相次ぐのか。機体の構造的な欠陥であれ、人為的なミスであれ、佐賀空港への配備計画が持ち上がっている佐賀県を含め、関係地の不安は募る。耳を傾けるべきだ。

 日本政府の対応も腰が引けている。小野寺五典防衛相が事故直後に米側に申し入れたのは、あくまでも「自粛」であり「飛行停止」ではなかった。

 今回の事故を受け、防衛省から配備要請を受けている佐賀県の山口祥義知事は「しっかりとした事故原因の報告を」と求めた。記者会見では、原因究明がなければ計画の受け入れ可否の判断を示すことはないと明言している。当たり前のことである。

 配備計画ではノリ養殖場の真上が飛行ルートになっている。漁業者にとっては、事故があるたび、原因がはっきりしないのが一番不安だろう。仮に海上にオスプレイが不時着しただけでも、ノリ養殖に多大な影響が出る。

 佐賀県にとっては、配備計画に関し、漁業者から聞き取った意見を国に届けようと準備していたタイミングでの重大事故だった。県としては、漁業者の繁忙期となるノリ漁期の9月までの判断を目指していたかもしれないが、ずれ込む可能性がある。安全の問題をないがしろにして、スケジュールありきで軽々に進めるべきではない。このままでは県民の国策への不信は募るばかりだ。(横尾章)

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