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10年目のふるさと納税

「使い方」の競い合いに

2017年07月17日 05時00分

 ふるさと納税による2016年度の自治体への寄付総額は、過去最高の約2844億円だった。08年の制度導入から10年目。行き過ぎた寄付金集めの競争には批判も出ており、寄付をする側、受ける側ともに制度創設の趣旨を改めて考え、適切に活用していきたい。

 ふるさと納税は、出身地など応援したい自治体に寄付すると、2千円の自己負担を除いた分が居住する自治体の住民税などから軽減される仕組み。15年4月の制度変更で減税対象寄付額の上限が約2倍に引き上げられ、寄付先が五つの自治体までなら控除に必要な確定申告が不要となり、寄付総額は一気に拡大した。15年度は前年度の4・3倍、16年度は1・7倍で、2年連続の大幅増である。

 増加の要因には制度変更とともに、返礼品競争の激化も挙げられる。16年度のまとめでは返礼品を送っているのは全体の94・2%、1684自治体。中には転売しやすい商品券や高額な電化製品などを準備する自治体もあり、「制度の趣旨がゆがめられている」という批判が強まった。

 返礼品の調達にかかった費用は約1091億円で、寄付総額に対する割合は38・3%。返礼品の送付や広報費、事務費などを含めると、寄付総額の5割ほどが経費としてかかっている。総務省は4月、返礼品の調達額について、寄付額の3割以下とする目安を初めて示し、商品券や家具、時計などは返礼品にしないよう求めた。

 こうした現状をどう捉えるか。各自治体特産の農畜産物や地場産品などを返礼品に使えば、寄付の呼び水になるとともに、「わがまち」のアピール、地域経済の活性化にもつながる。多額の寄付を集める自治体の中には地元の産業、業者が潤っているところもあり、返礼品が一概に悪いとはいえない。ただ、地場産業の振興などに結びつかないようでは疑問が生じるのは当然で、返礼品の充実ばかりに傾注するのは制度の趣旨に添わないだろう。

 ふるさと納税の意義として、総務省は、納税者が寄付先を選択することで、その使われ方を考えるきっかけになり、自治体側も選んでもらうにふさわしい地域のあり方を改めて考えるきっかけになる点を挙げている。佐賀新聞が6月にまとめた県内の状況をみると、応援したいNPOを指定して寄付できるようにするなど寄付者の意向に沿った事業に充てたり、子どもの医療費、給食の無料化、定住促進の取り組みに充てたりするなど幅広く活用している。

 ふるさと納税は適切に運用すれば、行政に対する納税者の関心を高めることにもつながる。返礼品競争に偏りすぎないように現状を見直し、今後は納税者を引き付ける使途の工夫に、より力を入れて競い合いたい。(大隈知彦)

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