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県議会の玄海再稼働容認

住民の安全最優先に判断を

2017年04月14日 05時00分

 九州電力玄海3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し、佐賀県議会が同意した。過半数を占める自民党の「再稼働容認」とする決議案が賛成多数で可決された。既に原発のある玄海町は同意している。決議を「極めて重く受け止める」とした知事は同意する見通しだが、不安や反対の声は根強い。判断を下す際の十分な説明が必要だ。

 臨時県議会では3本の決議案が提出された。自民などは、電力の安定供給といった観点から「再稼働の必要性が求められる」と提案し、避難計画の充実や地域振興などを国に求めた。民進などは、条件付きながら「再稼働せざるを得ない」、共産などは「拙速な判断と同意をしないよう強く求める」と主張した。しかし十分な議論が尽くされたのか、疑問も残る。

 知事は再稼働に同意するかどうかの判断の前提として、県議会の意思表示を求めていた。臨時県議会の12日の質疑でも、県民の代表としての議会の意見が大切であることを繰り返し表明。住民投票に否定的な答弁をしたのは、その裏返しともいえよう。

 地方自治を支えているのは首長と議員を住民が直接選挙で選ぶ「二元代表制」で、間接民主主義をとっている。原発再稼働というテーマが、多数決になじむのかという論議もあろう。再稼働に前向きだった自民党の案が通るのは予想された。しかし、県民にはいろいろな意見があり、佐賀新聞社が昨年秋に実施した県民世論調査では、反対が賛成を上回った。不安に感じる県民がいる以上、知事は十分に留意する必要がある。

 県主催の住民説明会、知事と県内20市町長との懇談会も開催した。伊万里市長ら3首長が再稼働に反対の意思を表明し、ここにきて長崎、福岡県から反対や不安、懸念の表明が相次いでいる。事故が起きれば、県境は関係ない。地元同意の範囲をめぐる議論が起きるのも、当然といえる。

 地元同意に法律上の明確な規定はない。このため臨時県議会の質疑では、議員から知事に対し、現在より広い範囲の同意を必要とするよう、法的な整備も含めて国に求める意見が出た。知事も「根本の議論が必要」と応じた。今後の判断に際し、隣県も含めた住民や首長の声を真摯(しんし)に酌(く)んでほしい。

 与野党を問わず、避難計画を実効性のあるものにすべきという主張は根強い。20市町長との懇談会でも、多くの首長が条件付きで再稼働に賛成する立場を表明した上で、福島原発事故の被害の長期化とともに、事故時の避難者の受け入れに不安を訴えた。「道路が混雑し、地震の場合は住民の避難も困難になる」「道路も整備しないとパニックになる」などと、懸念と対策を求める声が相次いだ。

 県議会の質疑では、避難計画は国が審査して同意を与える法整備が必要との提案があった。「それも一考に値する」として知事は、国にどういう提言ができるか検討すると答弁した。原発は国策である以上、国がしっかり対応すべき課題ではあるが、任せるだけではいけない。県レベルでも周知や渋滞などの対策が求められる。

 再稼働へ向けた手続きは進んだ。ひとたび原発が動けば、後戻りはできないとの覚悟がいる。知事は住民の安全を最優先に慎重に判断してほしい。(横尾章)

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