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県立高タブレット導入1年 教員、生徒「四苦八苦」

2015年04月01日 15時27分

県立高校生全員が購入したタブレット端末。手探りの授業が続いている=2014年5月、県内の高校
県立高校生全員が購入したタブレット端末。手探りの授業が続いている=2014年5月、県内の高校

■課題次々、手探り続く

 県教委が昨年4月から県立高校の新入生(約6600人)にタブレット端末を導入し、1年が経過する。5万円負担で生徒が購入する全国初の取り組みだが、年度当初は授業中にうまく教材ソフトをインストールできず、年度末にはその教材を削除するなど、技術、契約上の問題が浮上した。現場からは「効果的に使える場面もあった」との声の一方で、「四苦八苦した」「まだまだ手探り」と利活用の課題を指摘する意見も上がる。

 「効果的な場面もあれば、無理して使う必要はない場合もある。見極めが重要」と話すのは、佐賀市内の普通科で数学を教える30代男性教諭。効果があった一例として証明の授業を挙げた。

▽可能性も実感

 これまでは板書に時間を取られていたが、タブレットや電子黒板を使えば板書の手間が省ける。図を見せることで視覚的な理解につなげやすく、「通常3時間ほどかかる授業が1時間で終わった。力を入れたいところに時間を使えた」とICTの効果を感じた。

 生徒もタブレットに映し出された画面を保存することで、ノートを取る時間を省ける。ただ、「書くことは記憶や理解の上で重要」(40代国語科教諭)とも考えており、これまで通りノートも取らせている。

 教育現場におけるタブレットの可能性を感じる一方で、教諭らは「どう使えば効果的か模索が続いた」「四苦八苦した面もある」と新たな試みへの戸惑いも吐露した。

 世界史の40代教諭は「『世界史A』だから進度の問題はなかったが、内容が濃くなる『世界史B』になると、端末を使う余裕がどれぐらいあるか…」。デジタル教材を使う際、端末を机から取り出し、起動させてパスワードを入力する「間」が生まれる。「時間がもったいないので話は続けるが、『紙』の方がいいという生徒もいた」と振り返る。

 先の数学の30代教諭は「効果的な場面で限定的に使うのであれば、5万円で購入ではなく、学校の備品を貸与する形でも足りる」とした上で、「生徒所有にした意義や効果をもっと高めることが求められている」と指摘する。この学校では、1年生の学力は、例年と比べ目立った変化はないという。

 年度当初、デジタル教材のインストールは生徒たちが授業中に作業し、結果的に通信トラブルで授業時間を棒に振った。

 別の高校の40代女性教諭は「さあ使おうと思ったとき、うまく動かなかったり、通信できないことがあった」。他校のICT担当の男性教諭は「キーボードのキーが外れたり、画面がうまく映らないなど、機器トラブルへの対応は頻繁にあった。今は1学年だけだが、3学年に広がるとどうなるか」。IT機器特有の難しさも痛感している。

▽改善点を整理

 県教委は2月、教材メーカーとの契約が1年となっていたことから、各校にデジタル教材削除の指示を出した。削除の必要がない辞書を誤って削除する生徒もおり、業者に預けて復元した。佐賀市のある校長は「在校する3年間はデジタル教材を使えるようにしてほしい」と訴え、改善を求めている。

 県教育情報課によると、教材のインストールは、新1年生には共通科目など一部をインストール済みの状態で引き渡す。2年生にはSDカードを使い、通信を介さず端末に教材を入れる。それでも生徒によって必要な教材が異なる選択科目などのソフトは通信を介すことになるという。

 池田教育長は「全国に先駆けた事業で、この1年でさまざまな課題が出た。現場の声を聞きながら改善していきたい」と語り、今後、ICT教育の検証委員会を発足させる方針。現場の声を吸い上げながら課題や改善点を整理する。デジタル教材の契約も、教材メーカー側と交渉を進めている。

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