現在位置:

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

裕次郎とヨット

2017年07月17日 05時00分

 愛称は「タフガイ」であり「裕ちゃん」。日本を代表する昭和の俳優、石原裕次郎はスケールが大きく、美声の持ち主で、頼りがいのある「ボス」だった。きょうは彼の命日。52歳で人生の幕を下ろして30年というから歳月の早さを思う◆かつて「太陽族映画」といわれたものがあった。裕次郎の兄、慎太郎氏の芥川賞受賞作『太陽の季節』が日活で映画化され、無軌道で奔放な若者の風俗を描いて大ヒットした。その第2作「狂った果実」(1956年)で初の主演を務めた裕次郎は、瞬く間にスターに躍り出る◆映画は、湘南(しょうなん)の大学生と高校生の兄弟が1人の女性に思いを寄せる悲劇である。「要するに退屈なのよ、現代ってのは」。不良がかった若者が、ふてくされて吐くそんなセリフが時代を象徴した◆中平康(なかひらこう)監督の鋭利でキビキビした演出がさえており、これをパリで見たフランソワ・トリュフォーは絶賛している。映画にはヨットや水上スキーがふんだんに出てくる。裕次郎は海の似合う男だった。彼は兄と一緒に、父親にヨットをせがんで手に入れ、海に耽溺(たんでき)していた◆慎太郎氏の私小説『弟』に詳しいが、愛艇を持った兄弟は冒険心や自然への畏怖、責任感を学んでいく。裕次郎は生涯を通してのヨットマンで、その情熱は兄より強かったという。きょうは「海の日」でもある。(章)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

記事アクセスランキング