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親バトと知事

2017年07月15日 05時02分

 梅雨に入る前のことだったろうか、朝方、けたたましいハトの鳴き声が聞こえてきた。「近所の家に巣を作っていたハトの雛(ひな)がカラスに襲われてしまった」と隣家の人が話してくれた。ハトの倍はあるカラス。親バトは必死になって雛を護(まも)ろうと闘っていたのである◆「護」という字は、白川静(しらかわしずか)さんの『字統』によれば、鳥の動きや鳴き声で吉凶を占う古代中国の鳥占いと関係がある。鳥の様子を注視し、占って護ることが字源。そこから注意深く守護する意味になった◆そんな話を思い出したのは、オスプレイを巡る山口祥義知事と、佐賀空港を取り巻く漁業者との立ち位置を想像したからである。知事は県民の親ともいえる。漁業者も県民だ。それを護る立場の知事がオスプレイの配備を受け入れる姿勢を示した。反対が強い漁業者は孤立し、悩む構図ができてしまった◆以前の知事は「漁業者の一定の理解が得られなければ受け入れ可否の判断はしない」と口にしていたが、国と漁業者間の調整に「全力を注ぎたい」と一歩踏み込んだ◆漁業振興で県に頼らないといけない漁業者は矢面に立たされ苦しむだろう。説得が成れば「調整した」と県の成果になり、国にも顔が立つ。失敗したら「漁業者のせい」になりかねない。県民を護る立場の知事。ハトの親に、これからなれるのだろうか。(章)

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