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元号の大誤報

2017年05月20日 05時00分

 明治以来、天皇陛下崩御に際して、次の元号を巡る報道各社の取材合戦が過熱した。大正天皇崩御の折、東京日日新聞(今の毎日新聞)が「昭和」ではなく、「光文」と号外で報じた大誤報が歴史に残る◆政治部記者が「特ダネ」情報をつかんできたらしいが、なぜ間違ったかは謎のままである。情報が漏れたことで宮内省が、内定した「光文」から「昭和」に変えたとの見方が流れたが、作家の猪瀬直樹氏は『天皇の影法師』(中公文庫)で、その説を否定している◆天皇陛下が退位し、新しい元号に変わる節目にまた一歩近づいた。政府は、退位を実現する特例法案を閣議決定し、国会に提出した。可決すれば、退位の日を政令で定めることになる。陛下の退位と新天皇の即位を来年12月とする案が検討されている◆新元号の発表は、天皇即位の半年から数カ月ほど前倒しすることで、国民生活への影響が回避される。「平成」はほどなく幕を閉じることになり、一抹の寂しさが湧く。「昭和」はさらに遠くなりにけり…◆元号誤報事件には続きがある。「昭和」から「平成」へと元号が変わる際の1989年1月7日、毎日新聞が発表の30分以上前に「平成」を夕刊でスクープ。「63年ぶりに雪辱を果たす」と、社史『「毎日」の3世紀』は伝えている。記者の執念が報われた瞬間だった。(章)

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