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恋の相聞歌

2017年05月18日 05時00分

 河野裕子さんと永田和宏さんは「おしどり夫婦」の歌人として知られる。共著『たとへば君』(文藝春秋)は、河野さんが7年前に亡くなるまでの約40年間、恋人時代から10首に1首ほどの頻度で、互いに相手のことを詠んだ歌であふれている◆2人は歌を通じて知り合った。河野さんが21歳、永田さんが20歳。そのころの歌がある。<たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか>(河野)。<きみに逢(あ)う以前のぼくに遭(あ)いたくて海へのバスに揺られていたり>(永田)◆河野さんのまっすぐな気持ちが初々しい。「きみ」に出会い一変した永田さんは、以前の自分と会うことで今の幸福感を確認しようとする。輝くばかりの青春である◆この2人も恋の相聞歌(そうもんか)を交わしたのだろうか。秋篠宮家の長女眞子さま(25)が、大学時代の同級生小室圭さん(25)と婚約される運びとなった。内外とも胸ふさぐような事柄が多い中で心浮き立つ慶事である。会見に応じた小室さんは眞子さまと朝、電話で「行ってきます」「行ってらっしゃい」という会話を交わしたと明かした。この短いあいさつにさえ、ほほえましさを感じる◆皇室という何かと制約が多い環境でも、自然な形の愛を育まれてきたようだ。相聞歌のような愛のささやきが、きっと周囲も照らすことだろう。(章)

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