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穀雨と「三瀬愛」

2017年04月20日 05時00分

 精いっぱい息を吐いて、胸に吸えるだけのおいしい空気を詰め込んだ。肺の洗濯である。ここは佐賀市三瀬村。数日前に降った雨で山の木々が芽吹き始めていた◆「この澄んだ空気ときれいな水で育った作物なんです」と、愛情いっぱいに三瀬のことを話してくれるご夫婦に出会った。味噌(みそ)や米麹(こめこうじ)、柚子胡椒(ゆずごしょう)などを仲間と手作りして直売所で売る三瀬村地場産品振興部会の前会長、木下文子(ふみこ)さん(73)と幾久(ちかひさ)さん(78)◆農業の傍ら、文子さんは地元の農産物で加工に取り組む。味噌は、地元の米の麹に大豆は三瀬や神埼産。塩にもこだわり、年間800キロもの量を作る。梨の花が咲く今の時期に仕込むものが一番おいしく、半年寝かせ夏の暑さを経るとコクが出る。先人の知恵だ◆幾久さんは村の子どもたちの育ちにも心を砕く。学校図書に寄付を続け、ともに山に登り、村のさまざまことを伝える。「三瀬の名は、村にある鳴瀬川、初瀬川、高瀬川の三つの瀬川からついたのです」。そんなふうに。佐賀市との合併時、「村の文字を残して」との中学生たちの要望もあったそうだが、育んだ郷土愛のたまものだろう◆きょうは二十四節気の「穀雨(こくう)」。春雨が百穀を潤すことからその名がある。タラの芽、葉ワサビ、セリなど自然の恵みを三瀬で買い求めた。春が深まる里山の豊かさに感謝だ。(章)

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