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 第89回全国高校野球選手権佐賀大会第8日は17日、佐賀郡久保田町のみどりの森県営球場など2会場で3回戦3試合と2回戦3試合の計6試合があった。春の選抜大会出場校で、第1シードの小城は3回戦で致遠館に3―4で敗れ、春夏連続出場はならなかった。鹿島実は龍谷に延長11回サヨナラ勝ち、鳥栖商は第4シード有田工を4―0で破り、それぞれベスト8に名乗りを上げた。

 第3シードの佐賀北は厳木に8―1で7回コールド勝ちを収め3回戦進出。伊万里商は塩田工を7―3、佐賀西は嬉野を12―2で破り、3回戦に駒を進めた。

 第9日は18日、同球場で杵島商―鹿島、佐賀商―佐学園、唐津西―敬徳の3回戦3試合がある。
2007年7月17日 2回戦(3試合)3回戦(3試合)

致遠館 4―3 小城 (みどりの森県営球場・第1試合)=3回戦

 

小 城

致遠館

×

                        

【小城】 【致遠館】
井手―友田 右近、杉町―福田


▽三塁打 秀島(小)
▽二塁打 平山、中原義(小)


小城 春夏の夢消える―終盤粘りあと1本出ず

写真
【小城―致遠館】小城5回表2死一、二塁、百武の右前打で二走・梅木が同点のホームを狙うが、右翼手の好返球のためタッチアウト=みどりの森県営球場

 致遠館が、中盤までに4犠打を得点に絡めるそつのない攻撃で粘る小城を振り切った。1―2の4回、1死一、三塁から佐藤の中犠飛、四球押し出しで2点を加え勝ち越し。5回には1死二塁から右近の中前打で決勝点を挙げた。先発右近は緩急をつけた投球で連打を許さなかった。

 小城は終盤の8、9回に粘りを見せたが好機であと一本が出ず、主戦井手の力投に応えられなかった。

焦点

気迫の致遠館 崩せず

 1点を追う9回表1死満塁。内角に甘く入った初球を小城の3番平山雄太が鋭く振り抜く。「抜けた」。一塁ベンチの小城ナインがそう思った次の瞬間、打球は致遠館の投手のグラブに収まった。併殺。一塁線上につっぷしたまま動けない平山。春夏連続の甲子園を狙った第1シードの「夏」は、あまりにも不運な幕切れだった。

 初回、1点を先制したが、エース井手大奨の制球が定まらない。ストライクを取りにいったボールを狙い打たれ、5回までに4点を失い、逆転を許した。

 それでもナインは「大丈夫。最後はどうにかできる」。今春のセンバツ出場をたぐり寄せた昨秋の九州大会。終盤に驚異的な粘りを見せ「ミラクル」と呼ばれた小城ナイン。この日も「再現」を信じ、8回には1点差に詰め寄った。

 センバツで帝京のエース大田の前に20三振を喫した。甲子園で勝つためには速い球を確実に打たなければいけない。「長打はいらない。コンパクトにセンター返し」。これがセンバツの敗戦から得た教訓だった。

 9回、一打逆転の場面で平山が放った一打は、センバツの教訓が生きた“会心”の打球だった。「あの一打はしょうがない。最後は勢い、気迫で相手が勝っていた」と廣重昭博監督。あふれる涙をこらえきれないナインに「最後に粘りは見せたじゃないか。努力してきたことに胸を張れ」。意地を見せた選手にそう言葉をかけ、球場を後にした。

○一球に集中し結果

 センバツ出場の小城を逆転で下した致遠館。どこからでもチャンスをつくり、得点につなげる―。チームが掲げる“全員野球”で、第1シードを破る大金星を挙げた。

 序盤から制球に苦しむ小城の井手大奨に対し、片岡修史監督は「ボールを見極めて相手の球数を増やせ。チャンスでは早いカウントから積極的にいけ」。先制を許し、序盤は追いついても突き放される苦しい展開だったが、ナインは監督の指示を徹底した。

 1点リードされて迎えた4回裏。それが結実する。1死一、三塁から8番佐藤由庸が2球目をたたき中犠飛で同点。9番古川竜次が甘く入った3球目を右前にはじき返し好機を広げると、1、2番が冷静に四球を選び、押し出しで逆転した。

 上位、下位関係なく全員が一球に集中し、好機をつくり出したナイン。片岡監督は声を震わせながら「ベストゲームだった」と最高の賛辞を送った。


鳥栖商 4―0 有田工 (みどりの森県営球場・第3試合)=3回戦

 

鳥栖商

有田工

【鳥栖商】 【有田工】
鶴田―服部 樋渡政、本田、樋渡政―小嶋

▽二塁打 榊、松雪裕、日比生(鳥)

鳥栖商 完封勝ち-シード有田工は涙

写真
【鳥栖商―有田工】1回表、1点を先制されマウンドに駆け寄る捕手の小嶋(左)と話すエース樋渡政=みどりの森県営球場
 序盤でリズムをつかんだ鳥栖商が、安定した試合運びでシード校の有田工に完封勝ちした。初回、2死三塁から4番篠原の中前適時打で先制。3回は二塁打で出塁した1番松雪裕を犠打で三塁に送り、3番富岡の中犠飛で追加点を奪った。6、8回にも敵失や連打で得点を重ねた。

 有田工は6安打を放ちながら後続が続かず無得点。8回には無死一、二塁の好機を生かすことができなかった。

○「戦う集団」に重圧

 「負けた」。相手の校歌を聞くうちに有田工ナインの目から涙があふれ出た。昨秋の県大会ベスト4。今春も準優勝を飾り、今大会第4シードを獲得した。「例年になく、戦う集団に仕上がった」と井手良法監督。確かな手応えを感じて臨んだが、逆にシード校としての重圧がナインにのしかかった。

 2点を追う3回裏、無死一塁からの犠打は失敗。走者を進められず好機を逸した。井手監督は「普段では考えられない。想像以上のプレッシャーがあったのだろう」と振り返る。

 チームをけん引してきたエース樋渡政輝は勝負球の直球を狙われ、ナインに動揺も広がった。6回にはエラーから追加点を献上。打線も5回以降、毎回走者を出しながら、力みからボール球に手を出した。

 「樋渡を援護できなかった」。ナインはこう口をそろえ言葉を詰まらせたが、井手監督は「いい経験をさせてもらった。ありがとう」。今チームが巻き起こした“旋風”に感謝し、ナインの背中をそっとたたいた。


鹿島実 3―2 龍谷 (みどりの森県営球場・第2試合)=3回戦
 

10

 11

龍 谷

鹿島実

1x 

(延長11回)

【龍谷】 【鹿島実】
岡―片江
山本―光武将

鹿島実 龍谷にサヨナラ

 鹿島実がサヨナラ勝ちで粘る龍谷を振り切った。初回、1番佐藤が右前打で出塁。犠打、敵失で好機を広げ4番福江のスクイズで先制した。5回には2死一塁から2番山口が左中間に適時二塁打を放ち2―0。6、7回に1点ずつ失い同点とされたが、延長11回、1死満塁から9番山本の中儀飛で試合を決めた。

 龍谷は5回以降、毎回走者を出したが鹿島実の主戦山本に要所を抑えられた。


佐賀北 8―1 厳木 (佐賀ブルースタジアム・第1試合)=2回戦
 

厳 木

 
佐賀北

(7回コールド)

【厳木】
岡崎―原崎、家原

【佐賀北】
久保―市丸
▽二塁打 原崎、古川(厳)

佐賀北連打 5点先制

写真
【厳木―佐賀北】佐賀北1回裏2死三塁、4番市丸が左前に先制適時打を放つ=佐賀ブルースタジアム

 佐賀北打線が初回、鮮やかな先制攻撃を見せた。2死三塁から市丸の左前適時打を皮切りに、4安打を集中し一挙5点を挙げ、試合の主導権を握った。放った8安打はすべて単打。好球をコンパクトなスイングでとらえ、攻略につなげた。先発久保は威力のある直球を主体に6三振を奪い、完投した。

 厳木は4失策。初回の2失策がいずれも失点に絡んだことが痛かった。

○7年ぶりVへ好発進

 鮮やかな先制パンチで「夏」の幕を開けた。1回裏、2死三塁。佐賀北の4番市丸大介は、厳木の先発・岡崎が投じたカーブを逃さずたたき左前へ運び、三走を迎え入れた。「高めから入ってきた甘いカーブ。体がうまく反応してくれた」

 頼れる主将の先制打で勢いづいたナイン。この後、3安打に2盗塁を絡めて一挙5得点。百崎敏克監督が「大会前は底打ち状態だった」という打線がいきなり機能。「夏の初戦」という独特の緊張感をほぐすには、これ以上ないビッグイニングとなった。

 この日、長打は1本もなかったが8得点。「つなぐ意識を忘れず、次の試合も」と市丸。シードの「牙城」を唯一守ったチームが、7年ぶりの頂点へ好発進を切った。


佐賀西 12―2 嬉野 (佐賀ブルースタジアム・第3試合)=2回戦
 

嬉 野

佐賀西

3x 12

(6回コールド) 

【嬉野】 【佐賀西】
松尾、福田、川内-土田、副島 中野、橋本-小屋町
 
▽本塁打 原(佐)
▽二塁打 原、平野(佐)

佐賀西大量12点-長打、小技 攻め自在

写真
【嬉野―佐賀西】佐賀西5回表1死二、三塁、5番原(中央)が左越えに3点本塁打を放ち次打者の平野に迎えられる=佐賀ブルースタジアム

 佐賀西打線が10安打で12点を奪い、6回コールド勝ちを収めた。3―2の5回裏1死二、三塁の好機をつくると、5番原が左翼席に3点本塁打をたたき込み6―2と突き放した。この後、スクイズなどで3点を加えこの回6点。長打に小技を絡めた自在の攻めを見せた。

 嬉野は5回表、敵失の間に1点差まで詰め寄ったが、投手陣が相手打線の勢いを止めることができなかった。


伊万里商 7―3 塩田工 (佐賀ブルースタジアム・第2試合)=2回戦
 

伊万里商

塩田工

    

【伊万里商】
百武、梅村-井手
【塩田工】
松本、川下、江頭-坂井
▽三塁打 杉山(伊)松尾裕(塩) 
▽二塁打 下平(伊)

伊商、初回に6点―塩田工の追撃及ばず

 伊万里商打線が初回から火を噴いた。1死走者なしから、2番杉山の右越え三塁打を起点に、4連打を含む6安打で一気に6得点。2回も5番井手の右前適時打で1点を加えた。6回裏、先発百武のひざに打球が当たり降板するアクシデントがあったが、1年生梅村が無失点の好救援を見せた。

 塩田工は4点差まで詰め寄る粘りを見せたが、及ばなかった。