ドローンで撮影した佐賀駅(中央部)周辺。1970年代に高架化を終え、新たな用地を生み出しにくい環境にある=佐賀市

JR九州が公表した乗客数上位15駅(2015年)

 九州の県庁所在地でJR九州が大型の駅ビル開発を進める中、佐賀市の佐賀駅では検討されず、手つかずの状態となっている。同社は2015年度に大分で駅ビルを開業、熊本でも開発を進めており、県都では佐賀と宮崎の2駅だけ計画がない。乗客数は九州で9番目に多い佐賀だが、駅周辺にJRの所有地がない上、41年前に高架化を完了して新たな用地が生まれる見込みが小さいことから、単独開発は難しい状況にある。

 大分市のJR大分駅「JRおおいたシティ」は、JR九州が手掛けた直近の駅ビルで15年4月に開業した。21階建てで200以上のブランド店や飲食店が入る。同社が約200億円をかけて開発、小倉、長崎、鹿児島中央、博多に次ぐ5番目の大型駅ビルとなった。熊本も大規模な開発計画があり、21年春の開業を目指している。

 九州の各県都で駅ビル開発が進む中、佐賀に関しては「今のところ具体的な開発の話はない」と同社広報部。「さまざまな状況を考慮した結果」として未着手の理由を明言しないものの、佐賀と他都市との整備環境の違いを指摘した。

 JR九州が公表している1日当たりの乗客数が多い上位30駅(15年)を見ると、1位は博多で11万8082人。県都では、鹿児島中央が2万153人、大分が1万9550人、熊本が1万4513人。佐賀は1万2251人だった。長崎は1万1080人。30位圏外の宮崎は公表していない。

 佐賀は、福岡が通勤圏という地理的特徴で数字を押し上げており、駅ビルを持つ長崎よりも多い。

 利用者は多いが、佐賀で開発する場合、用地不足が障壁となる。

 JRによると、これまでは高架化や新幹線開通など鉄道事業と連動して駅ビル開発を計画するケースが多かった。大分の場合、高架化に伴い駅機能を整理する中で県などの区画整理事業も進み、開発可能な用地が生まれた。熊本も高架化とセットで開発が進む。

 佐賀市史(1981年編)によると、旧佐賀駅は駅周辺の混雑緩和のため76年に旧駅から約200メートル北の現在地に移転、高架化した。事業費約80億円は、当時の国鉄が約10億円、県と市が約12億円を支出、さらに国庫補助約47億円を充てた。

 高架化を終えた佐賀駅では、新たな用地が生み出される状況になく、現状では同社単独での駅ビル開発の可能性は小さそうだ。

 佐賀駅周辺を巡っては、駅南側にコンベンション機能を持つ複合ビルの開発計画が市長公約となっていたものの、昨年、駅南の土地を所有するJA佐賀市中央との協議がまとまらず、白紙撤回した。2022年度の九州新幹線長崎ルート暫定開業、23年の佐賀国体を見据え、市は周辺整備の構想を練っている。

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