名護屋城から移築された山門をくぐって近松寺境内へ=唐津市西寺町

■そぞろ歩きながら

 先月末、とあるプロジェクトの打ち合わせで唐津に行った。今回は佐賀空港からレンタカーでのアプローチ。厳木を過ぎ、眼前に現れた岸岳の稜線も北波多や佐里からのそれとは異なり、とても新鮮だった。

 唐津市域に入って「選挙の真っ最中」であることに気がついた。そこかしこに候補者を乗せた街宣カーが走り回り、まるでお祭りのよう。市街に入ると「選挙感」はさらに増し、随分と人が出ていた。候補者応援のテレビタレントがいたかららしい。まぁ、普段とは異なることもあって気持ちが落ち着かず、いつもはすぐに唐津に馴染(なじ)む自分がどうにも地に足が着かない、そんな感じが続いた。

 打ち合わせ後に友人が「大島邸に行きませんか」と誘ってくれた。二つ返事で提案に乗り、南城内から大名小路を歩いた。鳶(とび)の鳴き声、ほのかに漂う潮の香り、そして武家屋敷の空気に触れているうちにようやく、いつもの“唐津ペース”に。ふう…。

 旧大島邸は旧邸の古材を要所に使いつつも、「新築屋敷」の態。庭園も整備途中でどんな佇(たたず)まいになるか掴(つか)みきれなかった。ゴールデンウイーク前あたりにオープンらしい。いずれにせよ歴史ある建造物が新たなる唐津のプラットフォームとして機能することを願わずにはいられなかった。

 その後もつらつら歩いた。「昔は誰それが店をここで営んでいた」などと語らううちに近松寺の前に。名護屋城由来とされる門をくぐると境内の凛(りん)とした空気が気持ちを整えてくれた。

 歴史地域資源が市内各所に豊富に点在する唐津。今、その良さを市外に知らしめるには通り一辺倒ではない“捻(ひね)り”が必要だ。ましてや市政は言わずもがな、ですね。唐津市民ではない僕が言うのは憚(はばか)られるけれど、今回の選択が唐津の前進に繋(つな)がるよう祈念してやみません。

 むらた・まさとし 東京都町田市出身、世田谷区在住。ポニーキャニオン勤務。唐津に魅せられ、その魅力を新聞、雑誌、ブログを通じて発信している。50歳。

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