■実感伴わないでも警戒必要

 九州北部豪雨から5日で1カ月。発生当時、佐賀県内でも数年に一度とされる猛烈な雨が降ったことを伝える「記録的短時間大雨情報」が発表された地域があったが、住民からは「そんなに降ってない」と戸惑う声もあった。雨が局所的で、地域全体には降らなかったことによるとみられるが、佐賀地方気象台は実感が伴わない場合も警戒の必要性を指摘する。

 豪雨初日の7月5日、気象レーダーなどで午後3時40分までの1時間に「鳥栖市付近で120ミリ以上」の雨を解析したとして、佐賀地方気象台は110ミリ以上を基準とする「記録的短時間大雨情報」を発表し、災害への警戒を呼び掛けた。

 気象庁の予報用語では、1時間に80ミリ以上の雨量だと「猛烈な雨」に分類される。周囲への影響の大きさでは、50ミリ以上で「傘は全く役に立たなくなる」「水しぶきで辺り一面が白っぽくなる」「車の運転は危険」とされる。120ミリ以上の雨なら、こうした状況に遭遇することになる。

 5日の雨を巡っては、鳥栖市民から「そこまで激しい雨とは感じなかった」という指摘があった。市総務課の職員も「発表を疑うくらい、実感としては降っていなかった」と振り返る。実際、地域気象観測システム「アメダス」の鳥栖観測所(田代外町)にある雨量計が5日午後2~4時に観測した雨量は数ミリだった。

 雨量には、アメダスなどの雨量計で観測するものと解析雨量がある。解析雨量はレーダーで把握する上空の雨粒の状態などに雨量計の数値を加味し、1キロ四方のメッシュ(網目)ごとに割り出す。雨を「点」で観測する雨量計と異なり「面」で捉える長所がある。

 気象台によると、自治体内で1メッシュ分の範囲でも雨量が基準を超えていれば、記録的短時間大雨情報が発表されるという。担当者は「発表基準を超える雨が降ったのは鳥栖市内全域ではなく、数メッシュ程度と非常に局所的で、人口の密集地でもなかった」と話し、住民の実感と食い違った原因を推察する。

■下流域にも影響恐れ

 実感が伴わないから影響が及ばないと考えるのは早計だ。気象台は「仮に人けのない山間部に雨が降ったことで情報が発表されても、下流域に影響が出る恐れもある」と話し、局所的な雨でも注意は必要とする。

 佐賀地方気象台の山元孝一防災管理官は「自分が住んでいる地域にとってどの情報が重要で、どう利用すればいいかを日頃から整理しておくことが大切」と強調し、最新の雨量などが分かる気象庁や県などのインターネット情報に加え、災害の危険箇所や避難所を記したハザードマップの確認を勧める。ネットを利用しない場合、自治体が発信する防災情報に加え、テレビのテロップ情報や最新の気象情報を確認できるデータ放送などの活用を呼び掛けている。

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