小郡市の母子3人殺害事件で福岡県警の巡査部長が逮捕され、記者会見で謝罪し頭を下げる久田誠警務部長(手前)ら=8日夕、福岡県警本部

「福岡県警最大の不祥事」衝撃走る

 「なぜあの人が…」。福岡県小郡市の母子3人殺害事件で、県警は8日、妻の殺人容疑で現職の巡査部長中田充(みつる)容疑者(38)を逮捕した。周囲の評価は子煩悩で仕事熱心。地域には動揺が広がり、県警幹部は「史上最大の不祥事」と色を失った。むつまじさで知られた家族に何が起きたのか。容疑者が関与を否定する中、真相解明に向けて捜査が本格化した。

 妻を手にかけた殺人容疑での逮捕という現職警察官の不祥事に、福岡県警内には「県警の歴史始まって以来の不祥事だ。あり得ない」と衝撃が走った。無理心中に偽装した疑いも持たれており、県警幹部からは「逃げ切れると思ったのか」と憤りの声も上がった。

 警察不祥事対応の責任者、久田誠警務部長と近藤康徳首席監察官は報道陣を前に、4分近く頭を下げ続けた。8日夜、県警本部で始まった記者会見は冒頭から異例の雰囲気となった。

 久田警務部長は「重大な犯罪を警察官が起こしたことは大変残念」「重く受け止める」。険しい表情を浮かべた。ただ樹下尚本部長の姿はなかった。ナンバー2の久田警務部長は「私が県警代表として会見に臨んでいる」と伏し目がちに繰り返し、重く受け止めていると強調した。

 県警によると逮捕された充容疑者は市民生活に近い地域部門での勤務が長かった。現在は県民の緊急時の生命線である110番通報に対応する通信指令課で、実務を担ってきた。

 福岡県警では不祥事が相次いでおり、動揺は大きい。ある幹部は「警察への視線は厳しくなる。頭を下げるしかない」と憔悴(しょうすい)した表情を見せた。別の幹部は偽装の疑いに関し「司法解剖で分かる話。なぜだ。信じられない」と声を荒らげた。

 県警は今年3月、同僚の女性警察官に集団でわいせつ行為をしたとして、留置管理課の男性警部補2人を、1月には飲酒して当て逃げをしたとして行橋署の巡査部長を書類送検した。【共同】

<真面目で堅実、子煩悩 充容疑者>

 妻を殺害したとして殺人容疑で逮捕された福岡県警巡査部長中田充容疑者(38)は、亡くなった子ども2人に「あいさつしなさい」と厳しくしつけをする一方、優しく自転車の乗り方を教えるなど子煩悩な面もあった。所属する通信指令課では真面目で堅実に仕事をこなすと評価されていた。

 近くに住む男性(79)は1~2週間前、充容疑者が長女実優(みゆ)さん(6)の乗った自転車を倒れないように支えながら、乗り方を教えているのを見かけた。近くに自転車に乗る長男涼介君(9)の姿もあったという。

 地域の評判は「警察官らしい真面目な人」(近隣住人)。人付き合いは限られていたようで、自宅周辺の住民は、礼儀正しく「寡黙な人だった」と話す。子ども会の会計など裏方の仕事も引き受けていたという。

 家族を知る人の話では、殺害された妻由紀子さん(38)は、家を購入する時の契約手続きなど対外的な用事をこなしていた。

 県警によると充容疑者は2002年に採用され、主に地域部門で勤務。冷静で的確な仕事が評価されて県警本部に異動した。久田誠警務部長は8日の記者会見で「期待している仕事をきちんとしていた。生活面での特異な点や悩みも把握していない」と強調した。【共同】

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