■捜査権乱用で論戦

 参院法務委員会は8日、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議を再開した。野党側は労働組合など一般の団体が捜査対象になる恐れを追及、捜査権の乱用を巡って論戦が交わされた。与党は18日の今国会会期末までの成立を目指す。

 社民党の福島瑞穂氏は、過去の共謀罪の議論では、自民党が組織的威力業務妨害罪などを対象犯罪から除外していたとし「労組などの活動がそのような罪に当たりかねない。なぜ今回は外さないのか」とただした。

 法務省の林真琴刑事局長は「テロ組織が電力会社の従業員を発電所から無理やり排除し、電力供給の停止を計画するといったことが現実的に想定される」とした上で、「労組や人権団体は犯罪を実行することを目的として結合しているわけではないので、罪を適用できない」と答弁した。

 共産党の山添拓氏は、一般人が捜査対象となり、日常が監視される恐れがあると追及。金田勝年法相は「組織的犯罪集団の構成員、または集団に関わりのある周辺者でなければ、罪は成立しない」と述べ、一般人は対象にならないと改めて強調した。

 林氏は、任意捜査の開始時期を「計画に基づき犯罪の準備行為が行われると高度に見込まれる場合」とし、計画がない時点で捜査はできないと説明した。

 自民党の古川俊治氏は、組織的犯罪集団の定義を質問。林氏は一般的な団体の中にいる、犯罪を組織の目的と認識している者だけを集団として捉えることができれば「組織的犯罪集団と認定できる」とした。

 民進党の福山哲郎氏は、法案を批判する書簡を出した国連の特別報告者のケナタッチ氏が法案の公式英訳を求め、書簡の内容が不正確であれば撤回すると表明しているにもかかわらず、政府が対応していないと指摘。「対応しないまま拙速な審議で法案を通すことはあり得ない」と批判した。【共同】

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