スマートフォン用ゲーム「ポケモンGO(ゴー)」の人気が過熱している。従来のゲームと異なり、拡張現実(AR)の機能を使って屋外で楽しむゲームだが、交通事故などのトラブルが相次いでいる。ゲームをしながら車を運転するという問題のある使い方が後を絶たず、スマホのマナーについて改めて注意喚起が必要だ。

 「ポケモンGO」がこれまでのゲームと違うのは、アニメなどの動画を目の前の風景に重ね合わせることができるAR機能を使っていること。地図上を利用者がどう動いているかを知らせる位置情報も活用し、主人公の気持ちになってポケモンを探す仮想の「冒険」が屋外で楽しめる。

 ポケモンは子ども向けのゲームで始まったが、テレビアニメも20年近く続いていることもあり、ファンの年齢層は広い。インターネットの掲示板には珍しいポケモンをどこで見つけたかの書き込みも増えている。都市部ではうわさになった公園などに利用者が押しかけ、佐賀県内でも商業施設や観光地、山中で、真偽不明ながら目撃情報が寄せられている。

 屋外で楽しむゲームだけに、のめり込んで周囲が見えなくなるのが問題だ。高速道路に入り込んだり、交通量の少ない場所でヒグマらしき動物と遭遇するなど、国内でも信じがたいケースが相次いでいる。

 警察庁によると、25日午前11時半の時点で、車やバイクの運転中にポケモンGOで遊んでいたとして、全国で71件の摘発があったという。さらに4件の人身事故が起きている。人命を奪う事故は起きてはいないとはいえ、スマホの画面を見ながらの注意散漫な運転が多発すれば、いつ重大な事故が起きても不思議ではない。

 歩きながらのスマホも危険だ。スマホを片手に、街中でポケモンGOに没頭している成年男性を見たことがあるが、早足でまっすぐに突き進み、周囲はまるで見えていない。大丈夫だと思っているのは、本人だけだということを胸にとどめてほしい。

 政府は配信初日の22日から、屋外での熱中症対策や電池切れした際の連絡手段の確保なども呼びかけている。利用者同士が対戦できるゲームでもあり、出会い系のアプリのように不審者が近づいてくる危険性があることも訴えている。

 ゲーム運営会社もこれだけの騒動になっていることを重く受け止めてほしい。少なくとも危険な場所やプライバシーの侵害などで苦情が寄せられたところには、ポケモンを置かないように設定の変更は必要だろう。

 ポケモンGOにはさまざまな問題点があるとはいえ、拡張現実の活用法や可能性を示したという点で評価できる側面もある。利用者がこの新しい技術を使い、育てることで、ビジネスなどに活用分野を広げることもできる。

 今回の騒動が問題提起しているのはスマホのマナー違反だ。使うべきでない場所や時間帯に配慮するのは当然なことで、子ども以上に大人たちが問われている。

 夏休み中に家族でいろんな場所に出かけた際に、珍しいポケモンと出合うことができれば、いい思い出にもなるだろう。ゲームはルールを守ってこそ心から楽しむことができる。(日高勉)

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