インタビューに答えるヤマト運輸の長尾裕社長

 宅配便最大手ヤマト運輸の長尾裕社長(51)は8日、インタビューに応じ、人工知能(AI)を活用して配達を効率化することを明らかにした。配達履歴などを分析しドライバーに最適ルートを示す。2018年度から本格的に導入する。

 インターネット通信販売の普及で宅配便の利用は急増し、受取人が不在の場合の再配達も多い。人手不足が深刻化する中、配達の効率を高め現場の負担感を軽減したい考えだ。

 長尾氏は、宅配便の配達にはノウハウが必要で「新人はベテランの半分ほどしか配れない」と指摘。ベテランは担当地域の顧客について、不在が多い時間帯や荷物を受け取りやすい時間帯を把握しており、再配達を減らし効率良く回れるルートを組み立てているという。

 ドライバーにタブレット端末を配布し、AIが示したルートで新人が配達した結果、ベテランの7~8割の個数を配れるようになった。ベテランドライバーが別のルートを選んだ場合は、AIに学習させて次回のルート選定に生かす。長尾氏は「なぜAIと違う結果を選んだかが大事だ。その論理を学習することでベテランに近い知見が得られる」と期待感を示した。

 個人向けの無料会員制プログラム「クロネコメンバーズ」に登録した顧客の要望もAIの分析に反映させる方針だ。例えば、仕事が夜勤で昼寝ている時間帯の配達は控えてほしいといったリクエストを受け付ける。AIはヤマトの社員だけでなく外部の委託先にも使ってもらう。

 長尾氏はAIの利用に関して「皆が乗ってこられるプラットフォームづくりが大事」と語り、将来的に競合他社の参加も呼び掛ける考えを示した。【共同】

 ■宅配便の再配達問題 国土交通省によると、宅配便の荷物が再配達となる割合は全体の2割に上る。生活スタイルが変化し都市部で共働きや単身者が増え、昼間に荷物を受け取れない世帯が多くなったことが背景にある。インターネット通信販売の拡大による荷物の急増も重なり、配達するドライバーの長時間労働につながっているとして社会問題化している。【共同】

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