消費者庁は悪質商法の被害者救済に向け、消費者団体による業者の財産差し押さえ手続きを、国民生活センターが支援できるようにする方針を決めたことが8日、分かった。業者の財産隠しを食い止めるのが狙い。同センター法改正案に盛り込み今国会に提出、10月の施行を目指す。

 悪質商法の救済策として昨年10月、泣き寝入りしがちな被害者に代わり、国認定の「特定適格消費者団体」が業者に被害回復を求めて提訴できる新制度がスタートした。訴訟手続きに入る前に、財産の「仮差し押さえ」を裁判所に申し立てることも可能となった。

 ただ、業者の口座や土地などを仮差し押さえするには担保金を法務局(供託所)に積み立てる必要があり、被害規模に応じて高額となる。担保金を集めるのに時間がかかると、財産隠しや散財が進められる恐れがあることから、国民生活センターが立て替えられるようにする。

 担保金は、特定適格消費者団体が敗訴した場合などに備えて裁判所が確保するものだが、制度設計を議論した消費者庁の有識者検討会では「消費者団体の財政事情は厳しい」との意見があった。

 消費者庁の推計によると、実体のない事業や金融商品への投資話など消費者被害・トラブルは年6兆円を超えている。昨年10月に新制度が始まるまでは、被害者が個別に業者に請求するしかなかった。

 ただ、特定適格消費者団体の認定はNPO法人「消費者機構日本」(東京)の1団体にとどまり、新制度開始以降の事例が制度の適用対象となることなどから、提訴はこれまでに1件もない。【共同】

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