■異例の決算、信頼揺らぐ

 経営再建中の東芝は11日、2度延期した2016年4~12月期連結決算を発表した。3度目の延期を回避するため、決算は適正との監査意見を得られないまま異例の開示に踏み切ったが、監査法人は、米原発事業の巨額損失などを理由に、東芝の事業継続に「重要な疑義」があると表明した。決算の信頼性は揺らぎ、東芝は上場維持へ正念場を迎えた。17年3月期決算の発表や損失を穴埋めする半導体事業の売却交渉を控えており、崖っぷちの経営が続く。

 東京証券取引所第1部に上場する大企業の決算には、適正意見が付くのが通例だ。東芝の綱川智社長は東京都内で記者会見し謝罪。「(期限を)延長しても適正意見をもらえるめどが立たない」と説明した。上場廃止回避へ「最大限の努力」を強調した。

 経営破綻した米原発大手ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の監査を担当した米プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、WHが過去の決算でも多額の損失を認識していたと疑い、監査のやり直しを主張した。

 東芝はWH幹部が巨額損失を少なく見せようと部下にプレッシャーをかけた可能性を認めたが、決算への影響はなかったと説明し、対立は最後まで解消されなかった。東芝を担当したPwCあらた監査法人は、重要な手続きができない場合の「意見不表明」を選択した。17年3月期も厳しい意見となる可能性がある。

 綱川氏は財務基盤を改善できない場合、必要な「特定建設業」の許可を更新できず、エネルギーやインフラの一部事業を継続できなくなる恐れがあると明らかにした。東京電力福島第1原発の廃炉事業も対象に含まれており、分社化など悪影響回避へ対策を講じる。

 東芝の監査委員会の委員長を務める佐藤良二社外取締役は、監査法人変更の可能性を示唆した。

 11日は関東財務局に決算を含む「四半期報告書」を提出する期限だった。東証は東芝株を上場廃止の恐れがある「特設注意市場銘柄」に指定している。今回の事態を踏まえて審査は一段と厳しくなりそうだ。

 東芝の16年4~12月期決算は、純損益が5325億円の赤字だった。2月に発表した4999億円の赤字見通しから悪化。昨年末時点で負債が資産を上回る債務超過の額は2256億円だった。【共同】

 ■事業継続への疑義 業績や財務の急激な悪化により、将来にわたって事業を継続できなくなる恐れがある場合、企業は投資家への注意喚起のため、財務諸表などに記載する。また困難な状況を解消する経営計画をまとめ監査人に説明する必要がある。欠陥エアバッグのリコール問題に揺れるタカタや、経営不振に陥ったシャープなどが、これまで事業継続に重要な疑義が生じたとして記載したことがある。【共同】

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