国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門開門の是非を巡り、司法判断がねじれている二つの裁判の和解協議と審尋が9日、福岡高裁(大工強裁判長)で開かれた。長崎地裁の和解協議の成り行きを見守っている高裁に対し、開門派の弁護団が本格的な協議開始を改めて求めた一方、国は「地裁の和解勧告に基づいて努力を重ねるべき」と漁業者側をけん制し、地裁の協議が打ち切られた場合は、和解協議ではなく判決を求める考えを伝えた。

 長崎地裁は1月27日、開門に代わる総額100億円の基金案をベースにした和解を改めて勧告した。開門派や国など3者に、今月24日の次回協議までに諾否の回答を求めている。開門派は既に拒否する意見書を提出、高裁には別の枠組みでの協議を求めている。

 一方、国は高裁に提出した上申書で、開門派の姿勢を、裁判所や関係者の努力を無にする「自己本位で不合理な要請」と批判し、基金案以外での和解成立は困難と強調した。開門派が基金案の協議打ち切りを求める場合は、「判決によって解決することを求めざるを得ない」と言及した。

 開門派は、国の上申書を「品格を欠いた恥ずかしい文書」と断じ、地裁の和解協議について「議論は尽くされておらず、基金案が実行不可能な欠陥品と分かっただけ」と指摘した。

 和解協議は非公開。高裁は地裁の協議を見守る考えを示し、次回期日を3月21日に決めた。国側はこれを受け、地裁の協議が打ち切られた場合、高裁の次回期日は和解協議ではなく、通常の期日に戻すよう求める考えを示した。

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