中央防災会議であいさつする安倍首相(左から2人目)=11日午前、首相官邸

■庁舎耐震化、ICT活用も 

 政府の中央防災会議(会長・安倍晋三首相)は11日、昨年の熊本地震を踏まえ防災基本計画を見直した。被災地の要請を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」が一部機能しなかった反省から、都道府県と市町村がそれぞれ輸送拠点を設け、避難所まで確実に送り届ける態勢をつくることが柱。自治体庁舎の耐震化や、情報通信技術(ICT)の活用も盛り込んだ。

 安倍首相は会議で「災害に強い強靱(きょうじん)な国づくりに向け、官民一体となった総合的な防災対策に全力で取り組む」と決意を述べた。政府は、地方自治体がつくる地域防災計画への反映を促す方針で、自治体側の作業が本格化する。

 国は熊本地震で初めてプッシュ型支援を本格実施したが、輸送の混乱などで滞り、一部物資が避難所まで届かなかった。

 見直しは、都道府県が広域拠点、市町村は地域単位の拠点を設置すると明記。物資の集積や仕分け、避難所への配送を担う。国と自治体、物流業者が連携して物資の流れを把握し、食料などが不足している避難所に優先的に配送されるようなシステムの構築も図る。

 輸送拠点に利用可能な民間施設の把握に努めることも要請。国土交通省は11日、都道府県などの拠点として、3月末時点で全国1400カ所の民間の倉庫をリストアップしたと発表した。

 自治体庁舎や指定避難所も被災したことから、災害対策拠点となる建物の耐震化を計画的に推進。被災自治体に応援職員を派遣する場合、その自治体で勤務経験があるなど、即戦力になる人選をすることも求めた。

 余震への不安から車で寝泊まりする「車中泊」でエコノミークラス症候群を発症する被災者もいたため、携帯電話の位置情報といった「ビッグデータ」を含むICTを活用、被災者の居場所を把握して支援につなげる仕組みも検討する。

 岩手県岩泉町の高齢者施設で多くの犠牲者が出た昨年8月の台風10号被害に関する見直しでは、高齢者や障害者らの早期避難を促すため自治体が出す「避難準備情報」の名称を、より分かりやすく「避難準備・高齢者等避難開始」に変更。施設管理者が避難計画を作成し、自治体は訓練の実施状況などを定期的に確認することも盛り込んだ。【共同】

 ■防災基本計画 災害対策基本法に基づき1963年以来、国が定めている計画。地震や風水害、火山といった項目別に、事前の備えから応急対策、復旧・復興までの手順を規定、災害対策の基幹と位置付けている。自治体はこれに沿って地域防災計画をつくる。大きな災害の後に見直され、東日本大震災後の修正では津波対策の項目を新設。御嶽山(長野、岐阜県)の噴火災害では、水蒸気噴火の観測強化を盛り込んだ。【共同】

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