玄海原発の再稼働に関して意見を交わした佐賀県の広く意見を聴く委員会=8日、佐賀市の佐嘉神社記念館

 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)の再稼働に関し、地元同意の判断に向けた議論が本格化している。8日の県の広く意見を聴く委員会は、国の関係機関と九電が考え方を説明した。エネルギー政策、原子力防災、新規制基準の適合性審査、九電の安全対策の4項目について、委員とのやりとりの要旨を紹介する。

■エネルギー政策

 柳瀬映二委員(県平和運動センター事務局長) 今後のエネルギー政策として原発依存度を低減させていくという説明だったが、具体的にどのような形でやっていくのかが分からない。

 覚道祟文・資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課長 エネルギー源にはそれぞれ一長一短がある。原発については過酷な事故があり、安全性の確保という非常に大きな課題がある一方で、温暖化効果ガスを出さないという点では大きなメリットがある。また、日本のように化石燃料を海外に依存している国からすると、原発は使用済み核燃料を再利用できることなどから「準国産エネルギー」と位置付けることが可能で、メリットになる。クリーンという面では再生可能エネルギーがあるが、安定供給やコストの面で課題がある。そのようなことを総合的に勘案した結果、2030年度の総発電電力量に占める原発の割合を22~20%に設定した。

 北野修委員(県労働組合総連合議長) 九電は玄海原発の使用済み核燃料の保管方法として(貯蔵プールに入れる燃料の間隔を狭くする)リラッキングを検討しているが、原子力規制委員会は(特殊な容器に入れて外気で冷やす)乾式貯蔵が望ましいと言っている。具体化していない状況で再稼働していいのか。事業者任せでいいのか。

 覚道 基本的には事業者にしっかり取り組んでもらうのが大前提になる。九電が保管方法を具体化していく中で、国の方で説明が必要ならば説明したい。

 山田浩史委員(県連合青年団事務局長) 「国として」「国として」と言っているが、例えば政権が代わったり、大臣が代わったりしてもぶれずに同じ考えでいくのか。

 覚道 エネルギー政策、原子力政策を巡り政党間で考え方に違いはある。政権が代わったらどうなるかという質問には、私たちの立場で答えるのは難しい。少なくとも現在の政権では、原発については依存度を低減させつつ、メリットの部分も評価して30年度には総発電電力量の22~20%は原発で賄う方針を決めている。

■原子力防災

 山田 原子力防災については、子どもや高齢者に分かりやすく説明する必要がある。(資料は)子どもや高齢者も理解できるものを作ってほしい。

 山本哲也・内閣府政策統括官(原子力防災担当)大臣官房審議官 原子力災害が起きた場合、住民一人一人がきちんと対応できることが非常に重要になる。ある先進地域では、緊急時にそれぞれがどう行動すべきか、1枚のパンフレットに分かりやすく示したものを作っている。このような地域レベルでのさまざまな取り組みに対し、財政面などでできるだけ支援していきたい。

 柳瀬 避難計画について、漠然とした説明では一般の住民が理解するのは難しい。市単位や校区単位で具体的な説明をしないと、自分のものにならない気がする。国として説明する考えはないか。

 山本 地域への理解活動は地方自治体が主体となって行うべきだと思うが、国も専門的、財政的な側面などで支援する。

■適合性審査

 北野 設備だけでなくソフト面も審査の対象にしているとのことだが、ミスが重大な事故につながるような部署での健康維持や労働時間管理は、審査の対象になっているのか。

 市村知也・原子力規制庁安全規制管理官 労働時間などは直接的な観点では審査していない。事象の想定と、それに対応する手順の両方に幅を持たせ、その中でも余裕を持った体制になっているかどうかを審査した。ただ、いざというときに労働者の健康が優れないケースはあり得るので、事業者の責任として体制を整備してほしい。それがしっかり守られているかどうかは、保安検査の中で確認していく。

 北野 航空機の衝突などを想定したテロ対策の具体的な内容は。

 市村 セキュリティー上、どのような脅威を想定しているかは説明しにくい。要員や設備を1カ所に集めず、分散配置をすることが重要だ。

 三苫紀美子委員(県地域婦人連絡協議会会長) プルサーマルでプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使う3号機は、ウラン燃料だけの4号機と同じレベルで基準が満たされているのか。

 市村 3号機はMOX燃料を使う前提で審査した。「止める」「冷やす」対策を審査したが、MOX燃料を使うかどうかで、原子炉の止まり方や熱の出方が違うことがある。条件によってはウラン燃料のほうが厳しい事故につながる場合もあり、厳しい条件に合わせて確認をした。

 柳瀬 規制庁は「安全とは言わない」との説明だった。本当に安全と言えるまで原発は動かすべきではない。

 市村 福島の事故は繰り返してはならないし、そのために厳しい基準で審査している。ただ、だからといって規制当局が「絶対に安全です」と言ってしまうと、福島事故以前の慢心の状態に戻ってしまう。自戒を込めて「安全」とあえて宣言していない。

■九州電力

 北野 重大事故時の放射性物質の放出量について「福島第1原発の約2千分の1の4・5テラベクレル」との説明があったが、どのレベルの事故を想定しているのか。

 山元春義・九電取締役 4・5テラベクレルは、全電源喪失、蒸気発生器の配管破断などで格納容器から放射性物質が漏れることを想定し、国が評価したもの。当社が漏れるとしているわけではない。

 柳瀬 使用済み核燃料の処理についても具体的に明らかにしてほしい。青森県六ケ所村の再処理工場は2018年度上期に竣工すると言われているが、これまで何度も延期されている。

 山元 再処理工場も新規制基準による審査を受けている。電力事業者としては工程はぜひ守ってほしい。使用済み核燃料は玄海原発から必ず出て行くものだ。

=考・玄海原発再稼働=

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