がんを患うということは患者さんにとって大変つらいことですが、家族もさまざまなつらい思いを経験します。気持ちのつらさだけではなく、患者さんの身の回りの世話、家族としての役割の変化、経済的な問題など、心身への負担は多種多様です。

 患者さんの家族は、患者さんを支援する立場であるとともに、自身が「第2の患者」として、心のケアを必要とする立場でもあります。つい患者さんへの思いが強くなり、家族の方の心のケアがおろそかになることも少なくありません。家族の方の心が病めば、当然患者さんのつらい思いも強くなります。今回は家族の心のケアを考えてみます。

 家族の方にとって、患者さんにどのように接すればよいのか分からずに不安になることがあります。国立がん研究センター・がん情報サービスにある「家族向けの心のケアの情報」には、次のような項目が示されています。家族ができる患者さんへの心のケアとして、患者さんの気持ちを理解・共有する▽率直に語り合う▽「がんばれ」と励まし過ぎない▽これまで通りに接する▽患者さんの対処法を尊重する-などです。

 がんを告知された瞬間から、患者さんの心の状態は激しく変化します。その変化に対して家族も一緒に動揺すると、患者さんの不安は増すばかりです。まずは患者さんに静かに寄り添うことを心掛けてみましょう。

 つらい思いは患者さんだけではなく、家族にも蓄積していきますので心のケアも必要になります。患者さんをケアすることばかり考え、自分自身の心の疲労に気が付かないこともありがちです。

 また、自分がつらいと感じることを「情けない」と内に秘めてしまうことも少なくありません。家族の心のケアは、自分自身のためであるとともに、患者さんのためでもあります。つらい時には迷わず、病院のスタッフに相談してみましょう。(佐賀大医学部附属病院 検査部長・末岡榮三朗)

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