研究開始から丸3年を迎えた夏秋イチゴ。周年栽培を実現し、農家の所得向上につながることが期待される=唐津市鎮西町の県上場営農センター

夏秋イチゴを使ったケーキの試作品

■農家へ普及コスト削減課題

 唐津市鎮西町の県上場営農センターは、気温が高い夏場にも収穫できる「夏秋イチゴ」の研究に取り組んでいる。11月から5月にかけて出荷される主力品種の「さがほのか」に加え、夏に実る品種を組み合わせて通年出荷を可能にし、農家の所得向上につなげる。研究開始から丸3年。一定の収量を上げることに成功しており、今後は農家への普及に向け、栽培コストの削減が課題になる。

 夏秋イチゴは、北海道や東北など気温の低い地域を中心に全国で約100ヘクタール栽培されているものの、九州では宮崎県の高地でわずかに作られている程度。流通量が少なく、東京などではさがほのかの約2倍の高値で取引されている。

 イチゴはケーキにも使われ、年間を通して需要があるが、夏場の加工用は大半がアメリカからの輸入品が頼り。収穫して時間がたつと香りが落ちるため、国産を求める加工業者も多い。

 標高約100メートルに位置する上場地区は平均気温が佐賀平野より2度ほど低い。農家の経営規模が大きく、JAからつのイチゴパッケージセンターの有効活用にもつながるため、2014年から同地区で研究を続けている。

 現在は320平方メートルのハウスで、北海道の業者が育てている「すずあかね」など3品種で研究に取り組む。夏秋イチゴの栽培はいかに温度を下げ、栽培適温に近い条件をつくるかが重要となる。

 ハウス全体をクーラーで冷やすと冷房代がかさむため、同センターは株元を冷やし、さらに電気代が安い夜間に培地を冷やす方法を取り入れた。日中は送風機能で風通しを良くし、遮光やミスト冷房を組み合わせることで、昨年はすずあかねで10アール当たり2・7トン、販売金額で約530万円(推計)の収量を確保できたという。

 「栽培技術はある程度確立されている。あとはいかに安いコストでできるようになるか」と営農センター技師の中野裕一郎さん。現在の方法では毎年のランニングコストが約140万円かかる。さらに、すずあかねの場合、苗の購入費用は10アール当たり約80万円。夏場の栽培は病気や台風への対応も必要になる。

 同センターは、生産性の向上とコスト削減に向けた研究を継続する。中野さんは「上場地区をはじめ、標高の高い地域の農家さんに取り組んでもらえるようにしていきたい。将来的には佐賀の品種を佐賀の技術で普及できれば」と話す。

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