夏休みを迎えた放課後児童クラブ。子どもたちの生活リズムが変化するため、支援員はいつも以上に心身の不調に気を配りながら過ごす=小城市の三日月第一放課後児童クラブ

■補助金活用小城市だけ

 待機児童が増え、人手不足が課題となっている放課後児童クラブ(学童保育)の支援員の賃金を改善しようと、国が2015年度に設けた補助金を活用する自治体が、佐賀県内では2年続けて小城市だけとなっている。16年度の九州・沖縄8県の申請をみると、全くなかった大分県に次いで2番目に少ない。国や県は「質の高い支援員を確保するためにも活用を」と市町に呼び掛ける。

 処遇改善の補助金は、預かる時間が長い保育所から小学校に入学すると、保護者が困る“小1の壁”に対応、円滑に学童保育を利用できるようにする誘導策の一環でもある。そのため、午後6時半を超える開所が条件となる。支援員募集を続ける佐賀市は、5月1日現在で155人の待機児童が出た。施設によっては支援員不足で定員を増やせないケースもあるが、補助金申請について市の担当者は「6時半までだから働ける。延びたら無理という支援員の声があり、必ずしも処遇改善が支援員確保につながらない」と見直しには消極的だ。

 隣接する福岡県内の自治体の引き合いも強い鳥栖市は「2年前の子育て新法スタートに合わせ、賃金を改定したばかり。扶養の枠内で働きたい人と、上積みを希望する人が混在し、処遇改善のあり方に悩む」という。

 15年4月に子ども・子育て支援新制度がスタートする前は、学童保育の位置づけや指導員(支援員)の役割が明確ではなかった。国は必要性の高まりを背景に、制度開始に合わせて「支援員」の専門資格を設け、学童保育の質向上を盛り込んだ。

 大妻女子大学などで非常勤講師を務める真田祐(ゆたか)さん(埼玉県)は、年200万円台だった賃金が約400万円になった支援員がいる山形市の事例を紹介しながら、「市町村職員の知識が更新されず、以前と同じ感覚にとどまっているところが少なからずある。国の指針は義務に準ずる扱い。事業主体の市町村が新しくなった考え方をきちんと学ぶべき」と指摘する。

 24時間の研修を受け、資格を取った県内の女性は「資格を取ったにもかかわらず、賃金に反映しないことにがくぜんとした」と話す。職務と賃金のバランスが取れていないと何度も担当課に訴えたが、真剣に受け止めてもらえなかった。研修を受けた支援員と受けていない人の仕事に対する心構えの差が開き、ストレスも大きくなった。「これだったら時給が100円低くても、別の業種で働いた方がまし」と辞めた支援員もいたという。

 県こども未来課は「補助金活用とは違う形で処遇改善に取り組む自治体も出てきているが、県内の賃金水準は決して高くない。いい人材が他業種に流出しないためにも、市町には早期に処遇改善に取り組むよう促したい」としている。

=ズーム= 放課後児童支援員の雇用形態と処遇改善

 NPO法人県放課後児童クラブ連絡会によると、雇用形態は日々雇用や臨時職員が多く、一部では嘱託職員や常勤職員を置く。雇用期間は3カ月~1年更新が多い。5年までとする自治体もあり、不安定な雇用となっている。給与ベースは事務補助といった自治体の非常勤職員に合わせている市町が大半を占める。16年度の処遇改善事業では、1支援(約40人)単位ごとに最大290万4千円の経費を上乗せでき、補助率は国、県、市町が3分の1ずつ。

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