スマートIC促進期成会の設立総会では今村雅弘復興相(当時)も来賓としてあいさつした=昨年11月、鳥栖市役所

 九州自動車道の鳥栖ジャンクション(JCT、鳥栖市)-久留米インターチェンジ(IC、福岡県久留米市)間に「味坂(あじさか)スマートIC」(仮称)を設置する計画について、国土交通省は7月21日、事業化に向けた「準備段階調査」(直轄調査)を実施すると発表した。計画は構想段階から実現へ向けて踏み出したと言えよう。

 鳥栖市の北東端に九州道と長崎自動車道を接続する鳥栖JCTがある。ここを基点に西へ1キロに鳥栖IC、東5キロに小郡IC、南9キロに久留米ICがある。スマートICはこのJCTと久留米ICの中間点辺り(福岡県小郡市)が候補地で、福岡、佐賀の県境に位置する。

 スマートICは、自動料金収受システム(ETC)を搭載した車専用のインターチェンジである。小郡市が昨年4月、国交省に要望し、福岡県、鳥栖市、佐賀県を加えた2県2市で検討会を設置。昨年11月には4者で要望していた。

 地元の期待も大きく、鳥栖商工会議所は「鳥栖JCT周辺の渋滞緩和が期待できる一方で、交通の要衝のポテンシャルを高め、産業発展に寄与する」と要望書を市に提出。地元の区長や県議、市議、経済界関係者らが結集して建設整備促進期成会を発会させた。

 この計画は約1年前の7月中旬、マスコミ報道で広く知られることになったが、当初、佐賀側の反応は鈍いように感じられた。福岡県の議員らが活発に動いているとの情報の一方で、やや距離を置いていた印象がある。

 鳥栖市幹部は「小郡市が計画されて、鳥栖市へも協力依頼が来ているので、福岡県側が主体となって進められるのだろう。われわれは全く考えていなかった」と漏らしたことがある。

 鳥栖市が前のめりになれない理由は財政負担への懸念が大きい。スマートIC整備ではアクセス道路整備が地元自治体の役割になるが、鳥栖市側からが距離が長く、少なくとも2本の川があるなど工事費がかさむ可能性が高い。そもそも市は鳥栖駅周辺整備、市庁舎建て替えなど多くの大型事業を抱え、財政的余裕はない。

 一方で、社会便益や利用交通量、周辺道路整備計画などを検討していく中で幹線の国道3号が走る鳥栖市側を組み込まなければ、費用対効果やスマートICの必要性そのものが弱まるだろう。

 費用負担などについて具体的な協議に入ると、4者間の調整に時間がかかることも予想されるが、鳥栖市をはじめ、県東部の将来の発展や災害時の緊急輸送においてもスマートICは必要である。

 実現までのハードルは低くはないが、便益に応じた負担のあり方など多角的に話し合い、県境を越えた取り組みを一体になって進めてほしい。(高井誠)

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