九州北部豪雨で、自宅のそばを流れる川が氾濫したときの様子を振り返った満生直樹さん=3日、福岡県朝倉市杷木

 玄関前に民間の給水車が止まっていた。九州北部豪雨の被災地の一つ、福岡県朝倉市杷木。豪雨発生から5日で1カ月になるのを前に、再び訪ねた佐賀大学生の実家では、断水が続き、隣で営む飲食店も再開できずにいた。周りを見渡すと、土ぼこりを上げながら往来する大型トラック、濁流の勢いでちぎれたガードレール…。爪痕は深かった。

 佐賀大2年の満生萌水(まんしょうもえみ)さんの実家と、父親の直樹さん(56)が経営する飲食店は大分自動車道の杷木インターの近くにある。

 店の調理場の壁には大木がぶつかって開いた穴が残る。被災後、満生さんのサークル仲間を通じ、佐賀大や佐賀女子短大などの学生がこれまで10回近く訪問し、店や実家の泥のかき出しや掃除を手伝った。直樹さんは、磨かれた床に視線を落としながら感謝する。「こちらの負担が少ない自己完結型で支援に来てくれるし、よく働いてくれる」

 市水道課によると、7月28日時点で杷木の寒水、松末地区など約200世帯で断水している。バルブのある場所が土砂で覆われていたり、破損した配水管の修復や漏水の点検をしたり、復旧には時間がかかる。

 「自営業だから何もしないと無収入。一日も早く一品でも売りたいけれど、水が出ないことには店は再開できない」と直樹さん。8月8日を「末広がりで縁起がいい」からと、仮オープンの目標に据え、加勢に来てくれた学生ボランティアを招いてバーベキューをする予定だったが、繰り延べざるを得ない。「すぐに復旧するだろうと、甘く考えていた」

 区長代理も務める直樹さんは避難所に寝泊まりしながら、早朝から夕方までボランティアの受け入れの調整などに奔走している。「土砂の撤去も進まず、復旧と言えるのはまだまだ先。人の手が必要なので、『いい感じの汗』を流すと思って、被災地にボランティアに来てほしい」と呼び掛けた。

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